第10話

1章-1年、冬
42
2022/08/03 04:35
ついに11月下旬になり、今学期が終わるまで1ヶ月切ったぞ!というムードになっていた。
その中で、クリスマスは何食べる?とか、プレゼント、俺まだ貰ってるんだぜ!とかいう話をしている男子もいた。
僕はというと…教室の隅でしんみりと窓の外を眺めていた。
プレゼントもないし、どうせいつも通り、スーパーのオードブルだろうな。今年はケーキ、あるといいけど。
まぁ、まだ先の話か。
ー相談室ー
先生
先生
クリスマス?もうそんな話をしている奴がいるのか?
たくさんいるとは言えないな。
遥人
遥人
まあ…クリスマスの話はまたいつかでいいでしょう
先生
先生
あぁ
先生はコーヒーを啜った。
遥人
遥人
……………
先生
先生
ん?コーヒーが気になるか?
遥人
遥人
あ、はい…いつも飲んでいないので
先生
先生
君の前で飲むのは初めてか
職員室といえばコーヒーの匂いのイメージがあるし、飲んでいてもおかしくないか。
先生
先生
本当は紅茶が好きなんだけどね、学校にはコーヒーしかないからさ
先生
先生
それで?今日は何の話?
遥人
遥人
やっぱり…1人が寂しくなることがあるんです
遥人
遥人
最近、僕のことを友達と言ってくれる人ができたんですけど…まだ全然話してないし、向こうは他にも誰かいるみたいで
先生
先生
ほう…
先生がコーヒーを置いて肘をつく。
遥人
遥人
性格のせいか友達ができないし、ワイワイみんなで喋ってる人を見るとやっぱり…悲しくなってきて…
先生
先生
私も…1人だったけどね
遥人
遥人
え?
先生
先生
その話は置いといて…
また気になる話を…!
先生
先生
性格のせいだって、決めつけるのがおかしいんだ
先生
先生
自分を信じないで、どうやって自分を他人に見せる?
先生
先生
自分を知らないで決めつけて、どうやって他人に好いてもらう?
先生
先生
積極的に話しかけてみたことはあるのか?
遥人
遥人
っ…!
先生
先生
相手を好きになったことはあるか?
遥人
遥人
…………それは!
遥人
遥人
話しかけたらどうせ…突っかかって…
先生
先生
ほらまた、決めつけ
遥人
遥人
………………
先生
先生
突っかかってる君に寄り添ってくれるかもしれないじゃん
先生
先生
練習しようって、僕といようって言ってくれるかもしれないじゃん
先生
先生
世の中色んな人がいるんだから
先生
先生
自分が信じられないなら、他人を信じてみればいい
遥人
遥人
………難しい、です
先生
先生
そりゃあ君みたいな陰キャには難しいさ
先生
先生
でも友達が作りたいなら、乗り越えなきゃいけない
遥人
遥人
……………わ
遥人
遥人
わかり…ました
遥人
遥人
信じて…みます
先生
先生
うんうん…懐かしい
遥人
遥人
え?
先生
先生
ん?こっちの話
遥人
遥人
ちょっと!
遥人
遥人
僕に隠し事しすぎじゃないですか!?
先生
先生
君は私のこと、知りたいの?
遥人
遥人
え…?
僕は…先生の…なんだ?
先生のことを知りたい…のか?知ってどうする?
遥人
遥人
す、すみません…失礼します
先生
先生
……………
また、逃げ出してしまった。

プリ小説オーディオドラマ