第28話

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2024/06/02 14:46 更新



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夏休みも中盤に差し掛かり、今日はここら辺の一大イベント、花火大会。
出店も沢山出てて、夕方頃から賑わいを見せている。

人混みは嫌いであまり行ったこともなかったけど、5人でいかないかと誘われて初めて友達と花火大会に来ている。





💜「……すごい人だね、」





人の多さに、驚きが隠せない。

結構大きな花火大会だし、さっきからみんな学校の知り合いとかにも声を掛けられている。
薄暗くなってきたとはいえ、まだ真夏の暑い中にこんだけの人が集まってるの、すごいな。





💚「とりあえず、なんか食うか?腹減ってる?」

💙「ちょっと空いてるかなー、りんご飴とか食べたい」

❤️「わたがしがいい」

💙「はいはい、相変わらず甘いの好きだねー」





みんなで屋台を見ながら歩き続ける。

ちなみに優斗は、野球部のやつらに捕まってどっか行っちゃった。
あとで合流するって連絡来てたからまぁいいでしょ。





💜「俺もわたがしがいいな」

💙「お、作ちゃんも甘いの好きなんだ?」

💜「うん、好き」





ひょこっと顔を覗かせてくるはしもっちゃん。

黒のキャミソールに、黒の短パン。
シースルーのシャツを羽織ってる彼女は、年上のお姉さんだと思わせるような色気がある。

それでも向けてくる笑顔は優しさに満ち溢れてるところが、はしもっちゃんらしい。





💚「んー、人多いし、別れて買って神社集合にする?」

💚「優斗にもそう言っとくわ!」





そう決まって、俺は瑞稀さんと2人でわたがしの屋台を目指した。

瑞稀さんは大きめの白いリボンのついたシャツに、珍しくミニスカートを履いている。
花火大会だからもしかしたら浴衣とか着るのかな、とも思ったけど充分可愛いからなんだか勝手に満足してしまう。

でもまぁ、浴衣姿も見たかったなぁ…。





💜「あ、あったよ」

❤️「ほんとだ、意外と近かったね」





わたがしを2つ購入して、来た道を戻る。
人混みに嫌気がさしてきてしまって、早く人のいないところに行きたい。

ちら、と隣の瑞稀さんをら見て見ると、キラキラした目で綿菓子を見つめていて、可愛い。

そのまま約束の神社に戻ったけど、まだ誰も来ていなかった。

あー、やっと人混みを抜けられた。
他に人のいない神社の階段に、並んで腰掛ける。





❤️「………うまっ、…」





早速大きな綿菓子に顔を埋めて食べてる姿は、小動物みたいで。
よっぽど甘いものが好きなのか、キラキラした目が可愛いらしい。

……俺、さっきから可愛いしか言ってなくない?





❤️「……なに、なんか付いてる?」

💜「いや、可愛いなって」

❤️「………………それ禁止、…」





ぷいっと顔を逸らしてそっぽを向いてしまった瑞稀さん。
照れたのか、ちょっと赤くなってる耳が可愛い。

ホントのことしか言ってないのに。

思わずニヤけそうになるのを、必死に堪える。
と、ちょうどそのタイミングで、俺の携帯が着信を伝える。

ポケットから取り出して画面を確認すると、『猪狩蒼弥』と表示されていた。





💜「もしもし?」

💚『もしもし作間ー?ちょっと花火の時間までにそっち戻れそうにないわ!』

💜「え、どうしたの?」





ガヤガヤとうるさい電話の奥は、まだ人混みの中にいることを表していて。

花火まではあと20分くらいだけど、なにかあったのかと心配になってくる。





💚『いやあ、はしもっちゃんとはぐれちゃってさ、』

💜「え、大丈夫なの?」

💚『優斗が見つけたみたいだから大丈夫!でも結構離れちゃってさ、』

💚『人やばいし、戻れる気しないから一緒に花火は見れなさそう!』

💚『こっちは平気だから、みずっこんのことお願いね!じゃ、あとで!』





そう言うことだけ言って、ブッと電話を切られてしまった。
いつもそうだけど、相変わらずガリさんは一方的だな。





❤️「……どうしたの?なんかあった?」





もぐもぐとわたがしを咀嚼しながら、瑞稀さんがひょこっと顔を覗かせてくる。

じっと見つめてくるその目を見つめ返しながら、口を開いた。





💜「なんか、はしもっちゃんがはぐれちゃったみたいで、…」





そこまで言うと、瑞稀さんがみるみる目を見開いていく。

手に持ってるわたがしを落としそうになるくらい、焦りが顔から出てる瑞稀さんに、慌てて次の言葉を紡いだ。





💜「優斗が見つけて一緒にいるみたいだから、大丈夫」

💜「ただ、花火の時間までに戻ってくるのは難しそうだって」

❤️「…………そ、っか……よかった、……」





本当に、心から安心したように息を吐く瑞稀さんに、ちょっと申し訳なくなってしまった。

瑞稀さんは、本当にはしもっちゃんのことに敏感で、大切なんだな。
それを、改めて実感する。





💜「ここじゃ花火見れないし、ちょっと移動しよっか」

❤️「……ん、そうだね、…」

❤️「上行こ、ちょっと人混み疲れちゃった」





神社の横の坂道を指さして、控えめに笑う瑞稀さん。

上に行くと、高台というか開けた場所に出る。
花火からはちょっと遠くなってしまうけど、また人混みに戻るより全然その方がいい。

賛成して上に上がると、そこは穴場みたいで誰も人がいなくて。
街の夜景が、綺麗だった。

夜風が頬を撫でて、静かな空に線が登る。



━━━━━━━━ドンッ!





❤️「……わ、…きれい…」





夜風に当たっていると、暗闇に咲いた花火。

ひとつ、またひとつと、次々と上がる色とりどりの花火に目を奪われる。
夜空が花火に埋め尽くされて、染まってしまいそう。

ちら、と隣の瑞稀さんを見ると、花火に釘付けになっていて、その光に照らされている。

…………好きだな、と思った。

好きを実感してからは、初めて瑞稀さんに会ったけど。

……優斗の言う通りだった。
好きになっちゃったら、止められないね。

花火を見つめる瑞稀さんから、目が離せなくて。

友達思いなところも、甘いものが好きなところも、本当に嬉しそうに笑うところも、照れると耳まで赤くなっちゃうところも。
どんどん、好きなところが増えていく。

増えて、溜まって、溢れそうになってしまう。

1度目を閉じて、前を向いた。
溢れてしまわないように、今日の花火を忘れないように。
大好きな人と見たこの景色を、いつまでも覚えていられるように。

そんな俺のことを瑞稀さんが見つめてたことに、その時の俺は欠片も気づかなかった。




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