ようやく、片付いた。原因は単純。分家の一人が、他の連中と密約を交わしていた。
僕の存在が表に出れば、自分たちの立ち位置が消える。それを恐れて、先に手を打っただけのこと。
実行役が、あの使用人だったとは知らなかったけどね。思い返せば、導火線はいくつもあった。当時の僕の態度も最悪だったし、苛立ちをそのままぶつけて、強く当たった。
腹いせ。逆恨み。因果応報ってやつが、巡り巡って僕に返ってきただけ。
……とはいえ、よくやる気になったよね。僕を殺そう、なんて。その先に何が待っているか、少しも想像しなかったのかな。
密約を交わした家も含めて、一晩で全部“処理”した。後になって、もしこの躯を完全に取り戻せたなら、当主には一応説明するつもりだ。形式さえ整えば、了承するだろうしね。
身分だの家格だの、くだらないと思っていたけど、使えるものは使う主義だから。
理不尽なのは承知している。でも、僕が育ってきた世界は力でねじ伏せるか、ねじ伏せられるかだけだったから。
返り血で浴衣が重く濡れて、鉄の匂いが鼻につく。
このままあなたの元には帰れない。
部屋を汚すし、彼女は鼻がいいから僕がどこかで傷ついたと思って、余計な心配をさせてしまう。
だから先、五条家に戻るついでに、自分の“躯”も見に行った。
うん。あなたのおかげでよーくここまで育ってくれたね。彼女が初潮を迎えてからすぐに僕にも嬉しい変化が起きた。今の僕には何の実感もないけど――仕組みとしては、理解している。何とは言わないけど。
ただ、あなたの身体は相変わらず弱くて。少しでも負担を減らしたくて、滋養の薬を与え続けた。
触れることも、極力避けた。
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彼女の好意は、驚くほど純粋だ。何も求めてこない。見返りも、条件もない。ただ、僕と一緒にいたいだけ。夜中、寂しがってこっそり枕元を湿らせているのも知っている。
あとそれだ、僕の全部が好きだと言われたとき、胸の奥で、ありもしないはずの心臓が跳ねた気がした。
――これが、恋?本で読んだ症状には、当てはまりそうだけど。でも、その先の“愛情”となると、正直よく分からない。
知らないから比較対象がない。
それでも。あなたが大切だという事実だけは、揺がない。
早く娶りたいなぁ。
そうしたら、ずっと側に置けるしね。
本当の躯で、
ちゃんと抱いて、
僕の体温を教えてやりたい。
楽しみだなぁ.....♡












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。