You side
しばらくギュってした後
ヨシくんは満足そうに笑って私の頭を優しく撫でた
今夜はおうちで過ごす予定だったから、
お互い何も言わずにそのまま
デパートの出口へと足を運ぶ
ここで変にごますのも良くない気がして
正直に伝えることにした
ヨシくんは口角だけをあげてハハッと力なく笑うと
視線を足元に落とした
あぁ、私ほんとに最低だ
彼氏といるのに元彼見てたって…
"友達見つけただけ"とでも
言うべきだったのかもしれない
ヨシくんだって気になることはあるはず
だけど そっか の一言だけで
そのあと深く聞いてくる事はなかった
正直"何も聞かない"というより"何も聞きたくない"
って言うのがヨシくんの気持ちだと思う
口に出した瞬間、自ら地雷を踏んでるようで
自分でも自分が発した一言に後悔した
そんな長い沈黙の中、先に口を開いたのは
ヨシくんだった
そう言うとヨシくんは一気に表情が明るくなった
真史帆は元彼ではあるけど、初恋ではない
その前にだってお付き合いしてた人はいたし
好きな人だって...
"あなたの初恋はもう変えれへんけど
俺があなたの最後の恋やったらええのに"
...なんてな笑
そう言ってヨシくんはまた切なく笑った
ヨシくんはどこまで優しい人なんだろう
でもヨシくんのおかげで少し気持ちが
軽くなった気がした
結局、そのあと少し気まずさは残ったものの
準備をしたサプライズは大成功で
さっきの事は無かったかのように
楽しくて熱いクリスマスを送った
そしてヨシくんサンタには綺麗なリングも
貰っちゃって…///
未だに真史帆が頭によぎることがあるけど
それは私の甘酸っぱい初恋の記憶で
大切な思い出として閉じ込めて置くことにした
数年後、真史帆から"夢叶えたよ"って連絡が来て
それと同時に私からも"新しい家族が増えたよ"って
真史帆に報告することになるのはまた別のお話
-end-
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!