第10話

第5夜 後編〜僕が真の意味で、本当に本当に救われた話〜
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2023/12/01 12:36 更新
先生
もーなんでPを2回も使ったの?問題文に、いいえ、ほんの1行前にAPを出してるのに、
どうしてMとおかずに、BPを出して、BMを出した気でいるんですか!?
ね?もう本当にばかだね??
なすとろ。
わーー!!すみません!ほんとだ、何やらかしてんだ…
僕はしっかり怒られていた。

(ああ、いきなり真面目な話に入ると思いました…?すみません、
思い出しながら書いてるから、こういう流れじゃないと書きづらいんですよ…)
先生
はい、まぁ、あなたが他の問題きっちり解いてきたから、解説少なくて済んだし、
時間が余っていますから…5分だけあげましょう。10分はあげないよ?
きちんと、BPを出しなさい。わかった?
なすとろ。
はい!ありがとうございます!
と勢いよく言ったものの…
なすとろ。
(わかん…ない…)
まぁ簡単に言うと、秒速で詰まった。
頭があんましはっきり働いていないのもあいまってか、全くわからなかった。
先生
はーい、2分経過〜途中経過〜2分経過〜(笑)
しっかり煽ってくるスタイル。それが先生だ。
意外とこういう煽りスタイル、僕は好きだ…は?僕が変だって言ったやつ吹き飛ばすぞ(?)
なすとろ。
わーー、全然解けない…やだな…
先生
ん?やだっていった?
私前回言いましたね?感情入れちゃいけない、ってね…??
なすとろ。
わ、そゆことじゃないです!
数学は好きです!この極限だって解きにくい問題が多すぎる範囲なだけで!!
こんなのも解けない自分がやだな。嫌いだなって思っただけです…!
先生
あぁ、そゆこと?
あのねぇ、自分のことが嫌いで、成績上がるわけないね?
なすとろ。
は…??
普通僕は教師に「は?」なんざ言わない。失礼極まりないからである。
ただ、こればかりは、素直に「は?」であった。
先生
あれ、そんなこと考えたことない?
ってか、自分のこと嫌いで勉強してたって楽しくなんかないでしょ?
辛いだけでしょう?
なすとろ。
へ…?いや、楽しくなんかないけど…
うーん…辛い…確かにそうかも…?
先生
そうですか、あなたはそれに慣れて、受け入れてしまっているんですね。
わかりました。
先生
いいですか。自分のことを卑下しちゃいけません。
好き過ぎてもひきますけど、嫌いすぎてもひきますよ、私は。
さて、卑下と否定は違います。
否定は必要です。否定しないとね、新しく改革できないし、成長できません。
なすとろ。
たしかに…
先生
あのね、人に言う時とかに探す長所とか、いいところとか、
そんなもんを自分に見つける必要はないんです。
自分のことを好きになんかならなくたっていい。
思ったこと、感情は否定できませんから。
だけど、好きになんかならなくていいから、自分のことは認めなさい。
自分を認めないと、人の上には立てません。
どうやって自分のことを認めるかは、私はわかりません。人それぞれだから。

だけど、これだけははっきり言えます。
自分を認める方法を、自分で探して見つけていく。
そうしないと、医者にはなれませんよ。
なすとろ。
…!!
先生
自分は今これができない。そう否定することは必要です。
だけど、頑張って、努力して、その否定を克服することができたら。
きちんと自分を認めなきゃいけませんよ。
できなかったことができるようになったら偉いんですよ。
先生
というかね。
私の話をきちんと聞いて、解法も含めて、改善していっているね?
現に、それを証拠に、だんだん意味不明な解答が少なくなってきたね?
ちゃんとできるようになっていっているでしょ?
なすとろ。
え、自分、数学があんまりだから、先生の話聞いて改善していく必要があると思ってたし…
改善するの、できるようになるの、当たり前じゃないんですか…?
先生
あのねぇ…もしそれが当たり前だとして、みんなできたらどうなる?
合否の差なんてつかないね?
みーーーーんな、合格するね?

でも現実はそうじゃない。
落ちる人と受かる人がいる。

その違いはなにか。
簡単です。

落ちた人は、「できないことを、ほったらかした」。
それだけです。できないことをそのままにして、
もういいやってやってしまったから落ちた。
たったそれだけなんです。
先生
なんで私がここまで言い切るか。
そう、それは、私自身がそうだったから。
私はできないことを一つずつ地道につぶした。その結果、合格した。
先生
でも当然、周りには落ちた人もいた。
そんな彼、彼女らは私のことを馬鹿にした。
あいつなに努力してんだ、ダサいって。
だけど私は知ってるよ。
それは努力してない自分を認めたくなかっただけだって。
先生
話は戻るけどね。
できないことができるようになるのは当たり前じゃない。
偉いことなんですよ。
なすとろ。
…そっか…そうなんだ…
先生
そうです。
そして、少なくとも私は、きちんとあなたの頑張りを認めていますから。
それは覚えておいてください。
なすとろ。
…!!
純粋にびっくりした。
そもそも先生がそんな発言はすると思っていなかったし、
もっというなら今このタイミングで、僕は褒められると思っていなかった。
先生
きちんと自分を認めること。
そりゃ急には無理だろうけど、少しずつでいいから、自分を許すんです。
今はまだ自分がゆるせなくてもなんとかなるけど、社会に出て人と関わると、
社会的要請とかいろいろあってね。
自分を許すしかなくなる時が必ずきます。だから、大学時代に少しずつ克服するんですよ。
そして。受験は一つ、自分を認める明確なきっかけになります。
できないことを努力して、できるようになって、合格できたらすごいことなんです。
なすとろ。
はい…!!
先生
もし私の言葉が今響いているのなら、説得力があるのなら、
それは、実際に私が経験してきたことだからです。
おんなじことをそこらへんの人が言っても何にも響かないでしょう。
なすとろ。
めちゃくちゃ響きました…
もう、自分のことが本当に嫌いで…
中学の時から、ほんとに…
僕は「ここでは」割愛させていただくが、ちょっとばかしいろいろあった。
その経験をかいつまんでだが、話そうと思ってたわけではないが、先生に話した。
夜だったからってのもあってか、ぼろぼろでてきてしまって。
なんなら授業中なのに少し泣き出す僕の話を、先生は聞いてくれた。

正確に何を言ったか覚えていないが、これだけは言った記憶がある。
なすとろ。
否定される夢を持った自分が、一番嫌いだった…今も嫌い…
先生
そうですか…でもね。
あなたがいましてきた辛い経験があるでしょう。
それをね、次は他の人に話せばいい。
辛くてどうしたらいいかわからなくなっている人に、あなたの経験を話してあげればいい。
他の人は経験していないから言えない。
だけどあなたは経験したんだから、説得力のある話ができるよ。
そしたら、完全に人を救うことができるよ。
なすとろ。
…!?
人を救うことができる。

この言葉が、地味に僕の心にしみた。
先生
あと、あなた親に対して、悪い感情持っちゃいけないって思ってませんか。
そんなの、全部プラスの感情じゃなくていいんです。感情は否定しちゃいけませんよ。
浮かぶ感情は否定できない…本来はね。
憎しみを持っちゃいけないなんてことはない。
あくまで他者として関わればいい。
君がさっきの話でもちょろっと、奇しくも言っていたけど、切っても切れない他人。
これが大事なんです。
普通の他人なら話さなきゃおしまいだけど、親はそうはいかないね。
だから大事なんですよ。

あと、傷つけた人が人生を良くするきっかけを持ってくるなんてよくある話です。
そんなものです。
少しの憎しみと、少しの感謝とでいいんです。
先生
関わり合いつつ、折り合いつけつつ、生きていけばいいんです。
親はプライドとか色々あると思うから、好き放題言うかもしれません。
だけどね、死ぬまで、本当の気持ちはわからない。
死ぬ時。その直前に言ったこと。それが素直な言葉です。
だから、それまでは全部かりそめだから気にしなくていい。
先生
かりそめ繋がりだけど、今の、受験生というこの時期は、かりそめの時期です。
意識せずとも色々なしがらみ、制限が今かかっています。
だけど、大学に入ったらそれが全部なくなる。かりそめの状態じゃなくなって、
完全自由体になるんです。
自分がどれだけ自由かわかります。本当に楽しい。
それはもう。想像つかないくらい。実際にそうなってからじゃないと、楽しさは分かりません。
医学部は6年あるでしょう。6年、いろいろあります、長いです。
その長い期間、自由なんです。医学部生は、本当に、楽しいですよ。
今は辛いかもしれません。だけど、その後に本当に楽しい自由が待っています。
楽しみにしていてください。
先生
たくさん経験してください。体験は貴重です。
そして何回も言いますが、自分を認める方法を探してください。
ちょっとした自己認容が、あとあと効いてきます。
先生
あと、話の中で、自分を作ったって言いましたね。
よく大人になることを選択しましたね。
普通、たくさん否定されたら、どっかでもういいやってなってしまうものです。
それをあなたはよく生きましたね。根性がありますよ。
言ってしまえば、生きる、生存本能のようなものです。
その本能が強かった、否定に、本能が勝ったんです。
よく頑張りましたね。
なすとろ。
ありがとうございます…!
なんか、本当に、月並みな言葉になってしまうけれど、
先生とこうして話できて、よかった…!
すごいです、ほんと、初めからすごい人だと思っていましたが、
まさかここまでとは思いませんでした…!
なんか、その…救われた感じがします、ありがとうございます…!!
本心だった。
先生に、本当に救われた。

師匠(他小説参照ください)は、精神的に、一番しんどい時に、「今」を耐え抜く、
生きる目的をくれた。

そして、先生が、「今」を超えた「先」の生きる目的をくれた。

本当に、縁ってつながっていると思う。

このほかにも少し話していたことはあるかもしれないが。
大体まとめるとこんな感じだった。

もはや授業日記ではない。
ただの、会話録になってしまっている(元々そうだったかもしれないが)。
でも、僕は、びっくりするぐらい、先生に救われたんだ。

教師ってなんだと思う?
この文章を読んだ人たち、コメントはしなくてもしてもどっちでもいいから、考えてみてほしい。


僕は、教師って勉強を教えるだけじゃなくて、
なにか、生徒の、人の心に残ることを。

その後の人生で、その人を支える言葉を「教えられる」人のことを言うんだと思っている。

異論もいろいろあるだろう。
僕は別に、誰かの意見を否定したいわけじゃ絶対ない。

否定することは、

正しい絶対的なこと、改善できることに対して以外は絶対にしちゃいけないと思っているから。
「だから、僕は、教師にはなれない」

ちなみに、そう言ったら、先生は笑っていた。

「そんなことはないでしょう…
けど、それですっぱり諦められたのなら、それもいいのかもしれませんね」って。


でも、心の底から思う。

ーーー僕は、教師にはなれない。


そう思ったけど、昔感じたようなつらさ、苦しさはもう感じなかった。
慣れてきた方の辛さ、苦しさじゃなくて、明るく、透明な、優しい水の底から、
わきあがってくる、そんな思いだった。
そう思えただけでも、僕があの塾に行った価値はあったんだ。
この塾を見つけたやつが、僕を一番傷つけ、いろんなものをとりあげ、壊した人間だけど。

別にプラスの感情ばかり持たなきゃいけないわけじゃないんだから。
もう、いいや。許すよ。本人には言わないけどね。

僕の人生。これからも、いろいろあると思う。
けど、ひとまず、本当のーーまぁ、真の一章の終わりは、受験合格後に来るけどーー
精神的なピリオドはひとつ、打たれたんだと感じた。

ありがとう。僕を本当の意味で救ってくれて。
そうしんみりしながら、僕は、先生のおっしゃったことをまとめたノートを眺めた。
過去最長になりました。
ここまでお付き合いくださり、本当にありがとうございました。

最終回は、暫定12/13(12/6にも授業はあります)ですが、
最終回っぽい空気が流れてしまいましたね。

まぁ全然いいんですけど()

次回は、どんな勉強のコツを教えてくれるのでしょう?
もう、次回が楽しみでなりません。


あ。話で志望学部ばれましたね。もういいや。
何こんなサイトにだらだらかいてんだとか絶対言わないでください。
流石に泣きます。

ちなみにここだけの話ですが、試験まであと少しです。


以上です。

今回の話は、思い出したりした時とかに、少し修正がしれっと入っているかもしれません。
読み返してん?ってなっても気にしないでくださいね。(読み返すやつ僕以外にいるか?)
それでは、また次回のお話でお会いしましょう。

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