本日、いよいよ蔵色散人と魏長沢の蘇生措置を試みる。
あの後、医療の心得のある温氏たちが集まり、どういった手順で施術を行うか、何度も何度も議論しシミュレーションを繰り返した。
皆でああでもないこうでもない、っと侃々諤々と議論する中で最も難航したのが、誰が温情の助手に入るのか? という人選だった。
温氏たちは皆、魏無羨や抱山散人に特大の恩を感じており、今こそ恩を返す時! と、志願者が殺到したのである。
厳正なる話し合いの結果、温情の助手には経験豊かで温情とは阿吽の呼吸が可能ないつもの数名が入るという事で落ち着いた。その他の温氏たちは施術の間、魏無羨や抱山散人の気を紛らわせたり種々雑用に走る、という事で合意を得た。
そして蘇生措置が開始された。
施術は順調に進んでいるようで、時折漏れ聞こえる温情の声も落ち着いたものである。
魏無羨と抱山散人は今か今か? とその時を待ちわびていると
魏無羨と抱山散人は弾かれたように立ち上がり、駆け出そうとする。
制止する温寧の声に、魏無羨と抱山散人はハッと我に返る。
魏無羨と抱山散人は気が抜けたように座り直す。
それからどれくらい経ったか……
ようやく温情の許可が下り、魏無羨と抱山散人はソロソロと室内に足を踏み入れる。
部屋に入ると、寝台の傍らで助手が何やら処置を施しているようだ。
温情の警告に、二人はコクコクと頷く。
魏無羨と抱山散人がそっと寝台の傍らに立つと、その人は静かに寝息を立てていた。
その寝顔を見つめているうちに魏無羨は涙が溢れてきた。生きている! 目の前の、自分にそっくりなこの人は確かに息をしている!!
魏無羨が歓びに胸を震わせているその傍ら、一方の抱山散人はといえば、いつもの飄々とした態度は何処へやら。ボロボロと大粒の涙をこぼしていた。
魏無羨と抱山散人はしばらく無言でその人物の寝顔を見つめていた。
そして
その人物は目を覚ましたようだ。
焦点が合わないのかしばらく視線を泳がせた後、魏無羨と抱山散人をじっと見つめる。
涙でボロボロになった顔に構わず抱山散人は愛弟子に尋ねる。
抱山散人は愛弟子をそっと抱き締める。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。