金夫人は思案していた。
自分の録な事をしない夫がまた何やら企んでいるようなのだ。
魏無羨や温狗の事などどうなろうと知った事ではないが、それが自分の息子や孫、親友の息子に及ぶのは断じて許せない。
息子の金子軒が乱葬崗戦の直前に、魏無羨が立て籠る乱葬崗まで飛んで行ったと聞いた時は目眩がした。一体、息子は何を考えているのか?乱葬崗で抱山散人を名乗る謎の人物が現れ江厭離を連れ去ったとの報告には耳を疑ったが、もしそれに息子が絡んでいたとしたら…正直考えたくない。
そして魏無羨にとって最高の人質と成り得る江厭離が奴らに奪われた今、夫が何を考えるのか…考えただけで身震いがする。
江厭離の実弟である江晩吟と彼女の息子の金如蘭を利用しようとするに決まっている。
そんな事、絶対に許せるものか!
この“二人”は金夫人には特別な存在だ。
江晩吟は自分の親友である虞紫鳶に瓜二つだ。
その姿形も性格も、虞紫鳶が男であったならばこうであったろうと思わせてくれる、特別な存在。孫の金如蘭は言わずもがな、“自分と虞紫鳶の血を受け継いだ”子どもなのだ。
虞紫鳶は金夫人の憧れだ。強く美しく誇り高い。紫蜘蛛という号を持ち、何時如何なる時も気高く凜としたその姿。それは他のどの仙子よりも美しく眩しかった。そんな彼女に親友と呼ばれた時は天に上る程に嬉しかったものだ。そして彼女との、お互いの子が男の子と女の子ならば婚姻を結ばせようという約束を叶え、その愛の結晶を授かった。
自分の憧れそのものを生き写した江晩吟と自分と彼女の血を受け継いだ金如蘭。この二人に手を掛けようとする輩を断じて許す訳にはいかないのだ!
取り敢えずは夫から孫をどうやって取り戻すか…金夫人は思い巡らせる。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。