〜あなたside〜
重い頭を振りながら、今にも閉じそうな瞼をこじ開ける。
少し離れたところで騒ぐ人たち。
炭治郎が鬼化してしまったんだろう。
よく耳をすませば少女の声も聞こえる。
息を呑む音がした。
カナヲちゃんとしのぶさんがこちらを見ていた。
呼び止めるとまだ機能している2つの眼がこちらを向いた。
無事なら大丈夫だ。
刀を振って血飛沫を拭き取る。
一つ浅い息を吐き出した。
優しい音色と共にミクが現れる。
炭治郎の気を引かせるには奇襲じゃなきゃ意味がない。
まだ私が起きたことを知らないから、今がチャンスだ。
建物の隙間を縫うように走り、目標地点。
泣いている。
皆が。
人が多かったからか、まだ致命傷を負っているとはいえ、間に合うかもしれない。
ミクの深い蒼の瞳を覗き込む。
映る私は笑っていた。
ミクが呟く。
囁くように、
呟くように、
希うように、
隙が生まれる。
飛び出した私とミクが叫んだ。
ぶわりと身体の内側から何かが膨らむ。
それが次の瞬間、光となって弾けた。
四方八方、一面にその光が広がる。
炭治郎、
私は鬼滅が大好きで、
それと同時に、
とっても、苦しかった。
皆を救いたかった、救えなかった人が居た。
多分私の考えを傲慢だと笑う人もいると思う。
それでも、
そんな当たり前な、世界にしたかった。
不死川さんと義勇さんが笑っているところが見たかった。
当たり前の幸せで泣いている、しのぶさんを見たかった。
例え戦うことが出来なくても、
美味しいものを食べる煉獄さんを見たかった。
有一郎や炭治郎と笑っている
むいくんが大好きだった。
伊黒さんと甘露寺さんが2人でいる所を見たかった。
笑い合う2人を、見たかった。
優しい悲鳴嶼さんに子どもを憎ませたくなかった。
失望させたくなかった。
でも、本当は。
例え、辛い過去があっても
誰かに恨まれていても、
他の人と違っても、
進む道が決まっていたとしても、
それでも、
視界の端にポニーテールを捉えた。
透明が反射して、キラリと光を照らす。
〜NO SIDE〜
炭治郎が起き上がる。
その言葉に皆が安堵して歓声を上げた。
そこに、おかしな声が聞こえた。
光を被って、重傷者が軽傷者に。
軽傷者は無傷になる。
何故だ、そういえばあれは歌柱の呼吸では。
そんな事を言い合っていた時。
悲痛な声が上がる。
不死川の視線の先を皆が向く。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!