その血鬼術は彼の手から血が固まったように伸びてきて、樹木のように広範囲に広がった。
複数の尖った針のようなものが大量にあなたや3人の隊士に伸びてきた。
あなたは椿の花を連想させるような、しなやかで品のある型を守るように自分と隊士の周りに円状に展開させた。
彼女の愛の呼吸は、防御にかなり優れている。
銀狼は今まで見たことのない呼吸に驚き、同時に女神が舞っているような美しさに見惚れた。
________お願いします。
そう言われた3人は黙って下がるしかなかった。
上官命令だというのもあるけれど、それ以上にあなたから心配の声色をしていたので、逆らうわけにはいかない、と思った。
その一方、銀狼は
と、冷静にあなたを解析していたが、なんとなく、違和感を感じていた。まるで、こちらの考えを見透かしているような"眼"が恐ろしかった。
そうであるがゆえに、自分が本調子ではないことを彼は、悟ることができていなかった。
あなたは軽く上半身を脱力して、猛ダッシュで銀狼に迫った。
今まで会った鬼殺隊士の中で一等速い。
銀狼は咄嗟に血の触手を出してあなたの鳩尾に刺そうとしたが、ずれてしまったのか腿に軽く刺すしかできていなかった。
まるで一歩先回りしているどころか、2歩も3歩先も読まれている感覚。
銀狼は得意の体術をかましたが、あなたに足を掴まれて逆に投げ飛ばされた。
銀狼はすぐに血の触手を地面にめり込ませて地獄の牢のような網を作った。
ここから向かうが勢いよく突っ込んでくれればバラバラになる計算だった。
ところが、あなたが勢いよく上に飛んで牢獄を飛び越えた。
あなたがその型を出した瞬間。
銀狼の頸と胴体が離れた。
あなたの愛の呼吸の最強の技の1つ。愛憎の型。あなたのありったけの憎しみを技に昇華させた。
その時のあなたは冷静ではない。冷静ではないが、確かに強い技。
あなたは後ろを振り向いて銀狼を見つめた。
あなたは涙と憎しみを含んだ表情で続ける。
…生きていた時代が同じだったら、よかったね。とあなたは呟く。
その言葉を聞いた銀狼はなぜか涙が溢れた。
記憶の奥から流れてくる人間時代の記憶。
忌々しい掟。人を殺すことをなんとも思っていない死んだ目。何かに余計に恐れる一族。
あんな奴らと同じになっていたんだ。
それと同時に。
そうして銀狼は塵となって消えた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。