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第90話

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2025/10/21 16:00 更新
有岡大貴(orange-gun)
有岡大貴(orange-gun)
…ぁ、、…17さい、…です、…
重い沈黙を破り、ようやっと思い出したように
絞り出された声に、思わず顔を上げる。それは当然、
喋ったことに驚いたからではなくて。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
17、って…
…同い年じゃん。

俺と変わらない年齢であったことに
衝撃を受け、思わず声が漏れた。だって、
目の前の少年は実年齢より2歳も3歳も若く、
というか、幼く見える。瘦せぎすである俺が
言えたことではないが、17歳って、もっとこう、
頬がふっくらしていて、溌剌はつらつとしていて、
騒がしいものではないだろうか。
こんなに瘦せていて、いかにも不健康と
いった感じの容姿ではないはずだ。

まじまじと見つめていると、
彼は怯えたような表情で俺の胸元を見つめていた。
どこを見ればいいのかわからないのか、
俺の胸元に何かが付いているのか、…
…ま、たぶん前者だろ。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
…ごめん、怖かったね、
思わず謝罪すると、少年、…有岡くんは
首が取れるんじゃないかと思うほどに
大きく首を横に振った。
まぁ、否定の意を示すしかないよな。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
話変えよっか、
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
そうだな、…有岡くんから、
俺に、聞きたいことある?
自分でもこんな質問しか出てこないのが
情けない。だが、虐待されていた少年と
接するのは初めてなんだ。前々から
質問を準備していたわけでもないのだし、
多少は許してもらいたい。

有岡くんは少し考える素振りを見せた後、
軽く首を横に振った。たぶん聞きたいことは
山のようにあるんだろうけど、
まだ聞くのが怖いんだろうな。
何から聞けばいいかわからなかったのも
あるのかもしれない。

ひとまず、改めて自己紹介でもしてみるか、と
思い立ち口を開く。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
名前は、髙木雄也。年齢は、
有岡くんと同じ17だけど
義務教育は受けてない。
職業は、…
と、そこまで言いかけて言葉が詰まった。
…虐待から逃れたばかりの彼に
この話をするのは少し酷かもしれない。

彼が言い淀んだ俺を見つめる視線は
不思議そうで、不安そうだった。
正面からはっきり目が合わないのは多分、
俺が殺したアイツに嫌というほど
恐怖心を植え付けられているから。
" 目が合ったから " という理由だけで
殴られ蹴られる恐怖は想像に難くない。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
…まぁ、色々、してるよ
噓を吐くのが苦手な俺は、
噓にならない程度の噓を吐いた。
人殺しばっかやってるわけじゃないし…
ほら、あの、報告書とか、武器の修繕とか、
たま~に、本社?とかいうとこにも
行かされるし。…うん、殺人だけじゃない。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
…ごめんね、色々言っちゃって
少し彼には情報量が多すぎたか
と思ってそう言ってみる。彼は
少し不思議そうに顔を上げた。
少し、動いたかどうかも怪しいほど、
ほんの少しだけ。

一瞬、リビングが静寂に包まれる。
心地のいい天使が通過しきったのを
見送って、俺はもう一度尋ねてみた。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
何言っても怒んないからさ、…
聞きたいこと、ほんとにない、?
有岡くんは黙ったまま、
冷え切ったマグカップを見つめ、
…そして少しの沈黙の後、
ゆっくりと首を横に振った。

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