第72話

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2023/11/09 01:00
(NO side)




__で?収穫は?


__あの人…ターゲットは3日に1度、
  あの店を訪れていることが分かりました


__連絡先などの個人情報は、


__…申し訳ありません。聞き出せませんでした。


__本名の方はどうだ


__…そちらも、まだ、……


__…はぁ、…。早くしてくれ。
  我々には時間がないんだ。


__…申し訳ございません


__1つでも多くの情報を集めてこい。
  ミスは犯すなよ。


__…御意
(大貴side)




明るい部屋の中で、意識がぼんやりと浮上した。
少し肌寒い。見ると、布団がベッドの下に
落ちてしまっていた。

ここまで…どうやって来たんだっけ……?

落ちた布団を拾う気力もなくしわだらけのそれを
見つめる。控えめな頭痛に思わず目を閉じた。
こめかみ辺りがばくばくと脈打つのを感じる。


ガチャッ
有岡大貴(orange-gun)
有岡大貴(orange-gun)
……ッ、
頭痛に加えられた鈍い腹痛に体を丸めていると
誰かが部屋に入ってくる気配がした。
だけど、不思議と恐怖は感じない。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
……まだねてるかな…
有岡大貴(orange-gun)
有岡大貴(orange-gun)
っ、!
雄也の声だと分かった瞬間、高熱である事も忘れて
勢いよく起き上がった。無意識のうちに
体が動いていたようで、一瞬遅れて鈍い頭痛が
さっきの数倍になって襲ってくる。金属で
後頭部を殴られたような感覚がした。
…いや、もうちょっと鈍いかもしれない。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
ぅお、びっくりした…大丈夫、?
彼は驚いていたけど、すぐに激しい頭痛で
ベッドに逆戻りしてしまった俺を即座に心配してくれた。


体中が痛い。これは…思ってたよりも重い風邪だな、…。
有岡大貴(orange-gun)
有岡大貴(orange-gun)
…だい、じょぅぶ、、
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
……ほんとは?
有岡大貴(orange-gun)
有岡大貴(orange-gun)
………じゃない、…
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
よく言えました、
すぐに無理をする俺の性格を知っている雄也は、
誤魔化そうとした俺の本音を優しく
聞き出してくれた。正直に言ったことで
安心したのか、体中の力がふっと抜けた。
吐息が熱い、気がする。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
熱、測ってみようか
有岡大貴(orange-gun)
有岡大貴(orange-gun)
…ん、…
雄也が優しく体温計をセットしてくれる。
身構えてはいたものの、毎度のごとく
体温計の冷たい感触に体が震えた。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
頭は?まだ痛い?
有岡大貴(orange-gun)
有岡大貴(orange-gun)
ー、……だるい、
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
んはは、そっか、
ピピピ、ピピピ、…
有岡大貴(orange-gun)
有岡大貴(orange-gun)
ん、
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
…あー、……
差しだされた体温計を見た彼は苦々しい顔をした。
そのあと心配そうな表情を俺に向ける。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
よくこんな熱で起き上がれたね
有岡大貴(orange-gun)
有岡大貴(orange-gun)
へ、
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
38.7℃…そりゃだるいはずだよ
有岡大貴(orange-gun)
有岡大貴(orange-gun)
っ、……
そんな高かったんだ…。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
とりあえずコレ、首に当てといて
はい、と手渡されたのはタオルに包まれた
冷たい物体。素直に首の裏に敷くと、
熱気をまとっていたような感覚が
随分と楽になった。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
もうすぐ依頼時間だから
そろそろ準備始めようかなって
思ってるんだけど…どう?
飯とか食えそう?
ご飯か…。正直、この状態で体を起こして
食事をとるのは体力的にも厳しいと思う。
胃袋よりも体が先に限界を迎えそうだ。
かといって食事を取らないのも
雄也を心配をかけそうで嫌なんだよね。

…どうしよ、……。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
もし辛かったら、ラップだけかけて
テーブルに置いておくことも
できるけど…どうする?
ぁー…
有岡大貴(orange-gun)
有岡大貴(orange-gun)
てーぶる…って……どこ、?
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
どこって…ここだよ、サイドテーブル、
有岡大貴(orange-gun)
有岡大貴(orange-gun)
さいど、てーぶる…
雄也の言葉の意味が分かるようでわからない。
頭がぼーっとして、漢字変換が上手くできない。
というか、体にどうやって力を入れるのか
それさえもわからない。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
…大貴、?
有岡大貴(orange-gun)
有岡大貴(orange-gun)
……
雄也の心地いい声を聞きながら、
俺の意識は暗闇に落ちて行った。


ゆーや…ごめんね……

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