第85話

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2025/05/05 05:00 更新
ふと、背後から気配が近づいてきた。
そして、少年を見て面倒そうにため息をつく。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
…虐待されていた子供です
…連れて帰るのか
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
……は?
思わぬ発言に吐息のような疑問符が漏れる。
貴様がそのような目をしていたからだ
そんな目をしていた覚えはないが、
反論するとまた睨まれそうなのでやめておく。

仮面にかかる黒髪から覗く視線は、
俺を見ているのに交わらなくて、
あぁ、やはりこの人たちのことは
好きじゃないなと他人事のように思った。


そんな俺に気付いているのか否か
温度を感じさせない声が続ける。
1週間程度なら事務所で
預かれないこともない、が…
何せあっちは刃物も武器も多い。
たった数日でも、子供が生きるには
向いていないだろうな。
…要するに、この人が言いたいのは。
この子供を引き取らないのなら、
少年を見殺したのは俺ということになる。
その罪悪感を背負いたくなければ
引き取れ、と、そういうことなんだろう。

そんな思考が脳内を巡るか巡らないか、
その狭間に、気づけば口から出た声が
静かな空気を震わせていた。
髙木雄也(purple-sea)
髙木雄也(purple-sea)
俺、預かります
一瞬動きを止めた、ように見えた
目の前の人間は、俺の言葉に驚いたのか、
それとも何とも思わなかったのか。
彼は心底どうでも良さそうに、そうか、と呟き、
他の処理班の元へ歩いて行った。

よく考えれば、あの人だけは
よく俺に話しかけてくれる気がする。
もっとも、親しみのこもった声色でも
表情でもないのは確かなのだけれど。


音もなく歩いていく後姿を眺めながら、
ぼんやりと、俺は本当にこの子供を
引き取れるのだろうか、と思った。

口を突いて出た「預かります」の言葉に
何の責任もとらず、対価も払わずにいようと
思ったわけではない。が、子供の面倒を
見ることはおろか、ここ最近は子供を避けて
生きてきた。子供というのは鋭くて敏感で、
情けないことに、何となく俺は子供を恐れていた。

そんな俺が面倒を見る。
しかも虐待されていた子供の面倒を。
有岡大貴(orange-gun)
有岡大貴(orange-gun)
……ん、、…
少年が顔をしかめて体を動かす。
寝返りの出来損ないみたいなその動き方に
今までの彼の生活が垣間見えたような、
そんな気がした。

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