凪様と一緒に住み始めてから、
私は少しずつ変わっていった。
嬉しいときはちゃんと笑って、寂しいときには黙り込む。
彼女の前では、感情を隠さなくなっていた。
退団公演の日。
幕が下りた瞬間、私の涙は止まらなかった。
袖に戻っても、目は真っ赤で声も出ない。
それを見た咲さんがクスッと笑う。
隣にいた朝美さんも頷きながら優しくからかう。
私はハッとして、少し顔を赤らめた。
何も言えず俯いたけれど、否定はしなかった。
すべてが終わった後、凪様と私は並んで家に帰った。
静かな夜。
2人で作ったご飯を食べて、
いつもより少しゆっくり噛みしめる。
彼女のその一言に、私は小さく頷いた。
食事の後、ソファに並んで映画を流す。
画面では物語が進んでいるのに、私の視線はずっと隣にあった。
横顔。
長いまつげ。
穏やかな表情。
視線に気づいた彼女が、チラリとこちらを見る。
私は一気に恥ずかしくなって、両手で顔を覆った。
肩が小さく震える。
その様子がたまらなく愛おしくて、
彩凪は自然に手を伸ばした。
優しく何度も頭を撫でる。
私の目はトロンとして、抵抗する力もない。
撫でられるたび、安心したように身を預ける。
彼女は小さく笑って、そっと引き寄せた。
私の居場所はここ。
そう言うように。
映画の音だけが、静かな部屋に流れていた。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。