次の日、俺はハルの家に行った。
昨日は俺の家だったから隠し撮りされてるって思ったのかもしれない。ハルの家で告白すれば、これがドッキリでもなんでもないことをわかってもらえるだろう。
そう思って、ハルの家で、もう一度好きだと言った。
ハルは一歩も引かなかった。こいつばかりドッキリにかけたことを少し後悔した。
ハルは俺を家から追い出した。
やっぱり今のハルはおかしい。あいつは人から受け取る好意が好きだったと思う。褒められたり可愛がられたりしたら喜んだ。
男同士なのに性的な意味で好きなんて言ったのが気持ち悪いんだろうか。でもあいつは、それならそうとはっきり言うと思う。少なくとも好意は受け取ってくれるはずだ。今のあいつは俺の好意をまるで信じない。俺の知ってるハルはそんな奴じゃない。
LINEで聞いてみた。そうとしか思えなかった。素直に人の好意を受け取れない理由があるはずだった。
返事はそれだけだった。
俺はスマホ画面を眺めながらしばらくぼーっと考えた。
考えて、結局明日も告白することにした。
好きって言い続ければ、俺の気持ちを信じてくれるかもしれない。それで受け入れられないならそれでいい。でも信じてもらえさえすれば、悩みは話してくれるかもしれない。
それにしても、ほんとにどうしたんだろ。
ハルの言葉を一つずつ思い返しながら家に帰った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!