体育館の空気が、いつもと違った。
今日は部活見学の日。
剣道部の前には、女子が数人集まっている。
その光景を剣持先輩と見ていた。
私、二年生になったんだ。
そう実感する瞬間だった。
先輩の声で、
ぎこちなく新入生たちが並ぶ。
続々と自己紹介をしていく
一年生の中に、少し緊張した顔で
姿勢がきれいな子がいた。
礼が、すごく綺麗だった。
剣持先輩の指示に従い、
私は白石さんの隣に立つ。
素直でいい返事。
面をつける前の説明をしていると、
白石さんのかわいらしい声が聞こえた。
その時。
後ろから声がした。
振り返ると、剣持先輩だった。
白石さんの目が、ぱっと輝く。
褒められている。
実際、白石さんは上手だし当たり前だ。
だけど、胸が少しだけざわっとした。
いつも私にするように即答をする。
真面目で、優しい。
知っている。
知ってるからこそ。
練習後。
新入生たち、そして白石さんが帰っていく。
剣持先輩が声をかけてきた。
ふふん、と胸を張って言ってみると、
衝撃の言葉が私に落ちてきた。
一瞬、言葉に詰まる。
返事はした。だけど、
先輩が褒めた後輩。
しかも、女子。
ダメだな、すぐ気づかれてしまう。
少し疑ってる顔。
ぽん、と
頭を軽く叩かれた。
その言葉で、胸のざわつきが少し落ち着いた。
私の立場もちゃんとある。
友達と帰る途中の白石さんが振り返って、
手を振ってくる。
私は笑顔で振り返した。
新しい後輩。
新しい立場。
私は二年生になって、
剣持先輩は三年生になる。
その間で、
私はちゃんと前に進んでいる。
そう思えた。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。