第5話

霊幻新隆の場合
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2023/01/12 14:07
【霊幻新隆side】


全力で走って俺の財布を取り返してきたあなたの名字さんを見た時。
すげぇ奴だなぁと思った。



からかったら「霊幻さん!」と照れてちょっと赤くなるあなたの名字さんを見た時。
可愛いなぁと思った。



近づいてみても俺に対して全然危機感をもたないあなたの名字さんを見た時。
守ってあげたいなぁと思った。
霊幻新隆
あー好きかも
あなた
好き…?
相談所でレポートやらを書いていたあなたの名字さんが顔を上げた。
霊幻新隆
…何でもねぇよ
疲れてたのか、思ったことがそのまま口から出てしまった。
霊幻新隆
それより、あなたの名字さんだと呼びにくいから名前で呼んでもいいか?
あなた
急ですね…
霊幻新隆
嫌か?嫌だったら別にいいんだけど
彼女にちょっとでも近づきたい…と思ってしまう。
あなた
嫌ではないですよ
霊幻新隆
じゃああなたって呼ばせてもらうな
霊幻新隆
改めてよろしく、あなた
あなた
あ、えっと、よろしく…です!
照れてうつむくあなたを見て、やっぱり可愛いなぁと思ってしまう。
あなた
そういや霊幻さん、疲れてますか?
霊幻新隆
そう見えるか?
一様いつも通り振る舞ってたつもりではあったけど、こいつ、変なところで勘が鋭いよなぁ…

最近、つめつめで依頼が入っていてろくに休めてなかった。
あなた
はい、少しお休みした方が…
霊幻新隆
休む暇なんてねーよ
あなた
でも……
霊幻新隆
じゃあさ、あなたが癒してよ
悪ノリで両手を大きく広げる。

あなたは、少し考えると…
あなた
あ、コーヒー持ってきますね!
と、駆けてった。伝わんねーの…
あなた
どうぞ
カタリと横にコーヒーが置かれた。
霊幻新隆
うん、美味しい
インスタントコーヒーなんて誰が入れても変わんないと思ってたけど、彼女がいれたコーヒーはいつものより美味しく感じる。

受け皿にコーヒーカップを置くと、
霊幻新隆
はっ…?
身動きが取れなくなった…というか、後ろから抱きしめられていた。
ふわっといい匂いが鼻をくすぐる。
あなた
霊幻さん…これでいいですか…?
霊幻新隆
はっ…え?//
なぜ俺は今、あなたに後ろから抱きしめられているんだ?そんな指示したか?

まずいな、これ…
霊幻新隆
あなた…何やってんの?//
俺がそう言うと、バッと離れた。

かぁぁっと音が出そうなくらい顔を真っ赤にする。
あなた
え、すみません違いましたか?!//
あなた
さっき霊幻さんが腕広げたので、ハグの合図かと…
霊幻新隆
さっきのは冗談だったんだけどな…
「出過ぎた真似をすみません…!」とペコペコ頭を下げるあなた。

俺は「いいって!そんな謝るなよ〜」と笑う。
霊幻新隆
俺は大人だしこれくらい余裕だから!
と、大人ぶって笑ってみたものの…

正直ドッキドキだった。やばい、ニヤけそう。

まさか、冗談を真に受けられるとは思わなかった。
あなた
お、お茶が切れてたので買ってきますね!
霊幻新隆
おうっ、よろしくな!
ガチャガチャと音をたてながら、騒がしく相談所を出ていくあなた。


俺は気を紛らわすために、立ち上がって窓の外を見る。
下に、モブくらいの学生の集団が歩いていくのが見えた。



霊幻新隆の場合 end

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