ふわりと香る懐かしさを感じさせる薬草の
匂いに目が覚める。
よく薬草を取ってきては研究に勤しんでいた
母の事を思い出す。
抱き締められた時に鼻腔を擽る薬草の匂いが
好きだったな、何てどうでも良い事ばかりが
頭に浮かぶ。
そんな事を暫く考えていれば、ぼやけていた
輪郭がはっきりとし、知らない景色が飛び
込んで来る。
知らない天井。何時もより質感の良い布団。
家を飛び出して来た時の服と違う服。
此処は何処だと思うのと同時に逃げなくちゃと
本能が警告して来る。
だが、逃げ様と身体を動かせば、痛みで身体が
言う事を聞かず、動けない。
動こうとする僕を急いで静止し、心配そうに
僕の顔を覗き込んで来るふわりとした茶髪の
少年。
誰か分からず、恐怖と警戒心で離れる様に少し
身を引く。
「 誰ですか 」と聞こうと思えば、大きく咳き
込み、上手く言葉に出来なかった。
少年は僕に駆け寄り、背中を摩ってくれる。
其の手の温もりが、もう此の世には存在しない
兄さんの存在を感じさせ、涙と嗚咽混じりの
咳が溢れ出す。
そして、一番大切だったたった一人の兄を
自分が見捨て、追い詰め、自死させてしまった
という現実が僕に酷く、深く、突き刺さる。
みっともなく泣きじゃくる僕の背中を、少年は
落ち着くまで摩り続けていてくれた。
其の優しさが、僕の心にある深い傷口を痛い
程に蝕み、その毒は沁み込んでいった。
宣伝です🙌
こちらの作品はこの度私が主催致しました
おとーふ451小説コンテストで個人賞を受賞
した作品です!
夢主くんの感情の表現、話す言葉、その一つ
一つが重く、それでいて繊細で、とても
美しい作品です💕
詳しい感想は小説コンテストの方で沢山
語らせて頂いています✊️💞
夏休みになりましたのでこのまま完結に
向けて沢山更新していくつもりです🙌
更新が遅れてしまったこと、お詫び申し
上げます🙇♀️













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。