やっと心を落ち着かせ、爽やかな追い風を感じ、
その風の行方に顔を上げると、待ち望んでいた
神社の本殿があった。
イメージより大きく、権現造で厳かであるが、また同時に優雅で気品が溢れ美しい。
よく晴れた空の元、
その色彩は日の光に照らされキラキラ輝く金色と、鳥居や柱の朱色、緑青の屋根など、とても鮮やかに私の瞳へ映り込んだ。
私はスマホを手にして、写真を撮ろうとした。
その時、2枚目を撮ろうとしたら、博士が画角に入り込んできた。
カシャ📷
博士はニヤッとわらって、いたずらげに話す。
まぁ、博士はこういう人だしな…そう思い、苛立ちつつ
一旦私は諦めることにした。
神社を背景に、ニッコニコな博士と軽く微笑んだ私。
2人で撮ったこの写真はなんだかんだで、
とても大切な記念写真である。
博士の満足げな笑みを見るとなんだかそう思えた。
早速参拝をすることにした。
2礼2拍手一礼。
私は「仕事がうまく行きますように。」と願った。
手を合わせて真剣に祈っているようだった。
参拝終わりに博士がおみくじを引きたいとの事だから、
順番に引いて一緒に開いた。
すると、私は大吉、博士も大吉だった。
照れ隠しに私はおみくじをまた見返すと、
ふと恋愛の欄が目に止まる。
待ち人 思っていたより早く来ます。
恋愛 真剣に交際をして良い相手です。
これになんだか少しどきっとして隣にいた博士を見る。
こっちを向いたバチっと博士と目が合う。
私はやたらと神妙な面持ちだったので、彼は首を傾げる。
心臓の鼓動が早くなってきた。落ち着かせるため一度お手洗いに行くことにした。
緊張して変な日本語になってしまったが、そんなことはどうでも良い…!
私はそそくさとお手洗いに向かった。
その瞬間、博士の自身ありげな微笑みを思い出した。
思わず、驚いて声が出てしまった。恥ずかしくて、こっそりと辺りを見るが、周りに一応誰もいないのでホッとした。
スマホを見るともう10分も経っている。
私はあんまり待たせるわけには行かないので、一応平静を装って博士の元に戻ることにした。
手のひらサイズの小さな白い紙袋。開けると中身は健康祈願のお守りだった。エメラルドグリーンのお守りでレースの素材でできている。
珍しくてとても素敵である。
私の表情をチラッと見て嬉しそうな博士。ドヤ顔だ。
私は拝殿を一度振り返って観てから階段を降りていく。
博士はまだ大丈夫そうだが、私は正直へとへとであり階段を見るなり結構気が沈んでしまった。
その様子を博士が見て気づかれたのか、心配したように私に聞いてきた。
普段の疲れもどっとやって来た気がする…色々あったからなぁ…
そんな調子で半分ぐらい降りた時私はとうとうしゃがみ込んでしまった。
みると靴擦れもしていて踵から血が出ていた。
とても申し訳なさを感じつつ、これでは厳しすぎるので、おんぶしてもらう事にした。
そう言うと、博士はよっこいしょと私をおぶってくれた。煙草臭いけれど、
温かくて安心感のある心地よい背中だ。
話しながら階段を降りてゆく。いつもよりずっと穏やかな博士の声と夕方の涼しくて気持ちいい風が吹いてくる。
しばらくすると、私はうとうとして
思わず、そのまま眠ってしまった。
ふと、そんな言葉が聞こえた気がして、私はハッと目を覚ます。タクシーの中だった。
驚いて、隣を見るとあのお守りが置いてあった。
博士のことだろう。
運賃も払ってくれていたらしく、
タクシーを降りて、家に着いた。ぼーっとしながら鍵を開ける。
そのとき気づく。博士の事が自然とどんどん頭に浮かんできている自分がいることに、
かおがあつい。これは完全に












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。