第9話

大切な人
131
2025/07/31 23:13 更新
レオス•ヴィンセント
どーも気になるんですよねぇ…
ここ1ヶ月、最近助手の様子がおかしい。
どうおかしいかというと、なぜかよそよそしい。
レオス•ヴィンセント
あなたくん。そこのフラスコ取ってくれますかー?
あなた
えっ!あっ、はい…
それと、動きがぎこちない。いまだって場所を覚えたはずのフラスコを取るだけのはずなのに、キョロキョロしたり、無駄な動きがいつもより多い。
レオス•ヴィンセント
(まぁ。面白いからいいか…?)
と、思ってみているとこちらの方へ、片手を顔に近づながら目線を泳がせ、パタパタ早歩きで戻ってきて、私と目を合わせずに、フラスコをぐいっと渡して来た。
あなた
は、はい、
レオス•ヴィンセント
ありがとうございます😊
あなた
うわっ…!
レオス•ヴィンセント
あれぇ!?今うわっ…て言いましたよね!?!?
先程、彼女の顔は私のほほえみで確かに引き攣ったひきつった

おどおどした彼女は私と目をやっぱり合わせないで、すぐさま、
違うんですっ!!スミマセンッッ!!
と謝りまめねこのいる反対方向へあーおひるたべさせないとーっと棒読みで言いながら体をへ向けてしまった。
レオス•ヴィンセント
おや……?
   その時、私の中で嫌な予感が走った。
レオス•ヴィンセント
(えぇぇえええ!?
もしかして私、嫌われてるぅ〜!?!?)
思い返せばそう感じてきた。
まず目が合わないし、口数も少ない、さっきからなんか実験の補助が雑など、あげればキリがない。
嫌われたとしても、無理はない。
自分は昔から図々しい所があるとは自覚していた。知っててやっていた。あなたくんは優しいし、まず可愛い私なら許してくれると思ったが…
レオス•ヴィンセント
(流石にやり過ぎたかぁ?)
レオス•ヴィンセント
(まぁここはほんのり、本当に嫌いなのかを探るしかないな。)
レオス•ヴィンセント
(これからも付き合っていくんだし。)
そう決めた私は、彼女に優しい声色を作って、声を掛けた。
レオス•ヴィンセント
あなたく〜ん。
なんだか今日変じゃないですかぁ?
あなた
えっ?!
向こうは顔をこわばらせて明らかに動揺している。
あんまりにも分かりやすいから、傷つく反面、なんだかにやけそうだが、真剣に穏やかな自分を演じる。
レオス•ヴィンセント
(ちょっとジャブ強かったか?)
レオス•ヴィンセント
(まぁいけるだろ。)
レオス•ヴィンセント
最近、あなたくん私のこと避けてますぅ〜??
あなた
えっえっえっ!?さ、避けるだなんて!そんなこと!
あなた
する訳ないじゃないですかー!
レオス•ヴィンセント
でもさっきから目が合いませんよね?
あなた
レオス•ヴィンセント
私が近づくと動きがぎこちないし、表情も硬い…
あなた
…うぅ…
淡々と述べると、苦悶の表情を浮かべる。だが俯き気味で返事はない。
レオス•ヴィンセント
(どうやら、言い方がストレート過ぎたみたいですねぇ。)
私はずっと彼女に好意を抱いていた。
研究所でまめねこと2人きりで、その為いつしか孤独を感じ始めていたが、気づけば出会い、このような形でそばに居てくれる温かな存在であってくれた、彼女への感謝故の気持ちなのかもしれない。


だから、兎にも角にも嫌われるなんて最悪だった。
大切にするのだと、決めたのに。
互いに無言の時間はしばし3分間ほど続いた。
レオス•ヴィンセント
(あぁ、どうしようかな〜。)
私が言葉を探っていると、彼女が口を開く。
あなた
あっ、あの…博士のこと、嫌い、とかじゃなくて…
レオス•ヴィンセント
おぉ!そうなんですか!
あなた
は、はい…ただ、ちょっと…
嫌いじゃないのならこっちのもんだと、私は言葉をポツポツ話しだす彼女をじっと見つめる。
レオス•ヴィンセント
ちょっと???
あなた
…実は、
あなた
博士のこと好きになったんです!!!
レオス•ヴィンセント
えぇっ…!!
その瞬間顔を上げて、こちらを真っ直ぐに見つめた、その彼女の声は、徐々に私の脈を早める。
おまけに顔が赤くなってしまい、そむける。
レオス•ヴィンセント
(いや待てよ。)
好き、というのは必ずしも、恋愛感情だけをいうのではなく、仕事の仲間として、あるいは友人として、というだけだとも言えるから、
これはどういう事を意味する好きなのだろうか、気になる所。
彼女に優しく問いかける。
レオス•ヴィンセント
どの好きですか?
レオス•ヴィンセント
仕事仲間として?友人として?
レオス•ヴィンセント
それとも異性として。
潤み始めた瞳で彼女は言葉を返す。
あなた
全部ですっ!!!
あなた
その全部の関係性に宿るいろんな愛情をまとめて、好きです…!
あなた
博士は、図々しくて、うるさくて、めんどうくさくて…
あなた
でも…!!!優しくって、あったかくて、面白くて…
あなた
大切で…!!!!
レオス•ヴィンセント
…!!!
そう言った時、あなたくんはボロボロと泣き出した。
鼻を真っ赤にして涙を拭い続ける彼女に駆け寄る最中、

私は気がついた。


この今の行動は、

彼女の温もり対する
感謝という名のこの好意は、

  愛であると。
きっと、これまでも、これからも、友愛、敬愛、親愛、形は何だとしても、私達の間には色んな温もりが生まれていけるのではないだろうか。

だとすればそれは唯一無二で代わりの効かない、
とても尊い関係性だと。
私が大切な花を抱えるように、優しく、
包み込んだ彼女が、
その内泣き止むと、私は微笑んでゆっくりつげる。
レオス•ヴィンセント
ありがとう。伝えてくれて。
あなた
はい…
あぁ、腕の中、上目遣いで
こちらに答える彼女が愛おしい。
レオス•ヴィンセント
私もずっと貴方が好きでした。
レオス•ヴィンセント
今さっきようやく気がついたんです。君は唯一無二で、大切なんだって。
そっと額にキスをする。
あなた
えぇぇ…っ!本当ですかぁ…!
あなた
嬉しい…!!
あなたはそう言いながら明るい笑顔で私の事を抱きしめてきた。
レオス•ヴィンセント
えぇ、本当です。
私もそう言い抱きしめ返す。
甘い時間、平和な物語はここから始まった。

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