外に出ると
また一段と増した寒さに、嫌気が差した。
空を見上げていると、
グクに初めて会った日を思い出した。
あれから、もう数週間…いや、1ヶ月くらいは
経っただろうか。
もし、あの時グクを見つけてなんて
いなかったら
今、私の隣を歩いているグクは
一体どこでどうしていたのだろうか、なんて
特に意味も需要も無いようなくだらない事を
ひたすら頭の中で巡らせる。
私が冷たい態度を突然とったから、
きっと気にしているんだろう…
まぁ、当たり前だろうけど。
率直に言ってしまえば
私はただ単純に、ソナさんからの嫌がらせに
ビビっただけ。
グクには何の罪も無いし
私の、勝手な私情でしかない。
足を止めて、
私の後ろで立ち止まったグクに振り向く。
優しく、ニコッと笑ってから
また私の隣に小走りで来て、歩き始めるグク。
なんだか、私の考えていることを
グクは全て見透かしているような気がしてきた。
ソナさんから嫌がらせを受けそうで
私がグクに冷たく接した事を
グクはきっと、察したんだと思う。
だから…私を
安心させようと、してくれているんだ。
グクの“守る”、“大丈夫”っていう言葉が
私にとって、すごく心強くて
ソナさんの事なんて、気にしなければ良いと
なんだか、吹っ切れてしまった。
ふと横を見ると
グクと出会った、あの時の公園が視界に入った。
今歩いている通りは
私がいつも一人で歩いていた通りだったんだと
今更思い出した。
グクが居るだけで、なんだか景色が
違って見えるせいで、気が付かなかった。
言うて、1ヶ月程しか経っていないにもかかわらず
なんだか、忙しない毎日のせいで
1年ぐらい経ったような感覚でいた。
出会った日のグクとは対称的に
俯いて、じっと座っている人が何故か無性に
気になって、仕方がない。
目を凝らして、
その人物を見ていた。
ベンチに座る人が、私の方に顔を向けた。
目が合ったと理解していながらも
どうしても、目を逸らさない。
とうとう、その人物は立ち上がって
真っ直ぐ、こっちに向かって歩いてきた。
グクに腕を引っ張られて、
やっと、目を逸らそうとした瞬間。
公園の入り口近くまで来た人の顔が
街灯に照らされて、ハッキリと見えた。
同時に、
私の心臓がドクドクと勢いを増しながら
脈打ち始めた。
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遅くなり、大変申し訳ありませんでした …
お気に入り180突破しました 、、、!!
本当にありがとうございます … ( _ _)
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。