翠
当たって欲しくない予想って案外あってたりする
今目の前で、泣いてる
今のゆうさんと同い年ぐらいだと思われる少女が
幠陏さんが 、瑚恵先生が探し求めてた人だってこと
そして、ゆうさんの幼馴染の母親だったってこと
どれも信じたくない
けど、紛れもない真実
幠陏さんは、こんな姿になった彼女さえも
きっと 愛してる と 待ってたよ と言うんだろうか
幠陏さんの止まってた時間が再び動き出すのか
それとも、止まってしまうのか
どっちに転んでもおかしくない
そして、
僕は、零夜さんのことを知りたい
聞きたいことなら、沢山ある
いいや、聞きたいことばかりだ
顔を涙で濡らし
今にも、消えてしまいそうな程
優しくて 、穏やかで暖かい雰囲気に包まれた彼女
どうして、そんな雰囲気になれるのだろうか、
実際に会えた訳でもない
それとも
彼女が悲しそうに、そして、
すこし嬉しそうに口角をあげていたように見えた
あの時から、幠陏さんだと気づいていたのか
そう 、優しく笑ってくれた
本当にくにおに似てる
太陽のような優しい笑顔
もう会えないかもしれないって
途中でも分かってたかもしれない
きっと、地縛霊にならない選択もできたはず
なのに 、ここに留まったのはどうして 、?
ゆうさんなら、1年も経つ前に諦めて
ここまで 、留まることなんかしなかった
小さい声で
約束したから
確かにそう呟いた
約束って、?
たった一つの約束がそこまでさせるの、
そう 、優しく答えてくれた
その言葉には 、少しの切なさと
大きな愛情が詰まっているように感じた
言葉は言霊となって帰ってくるってよく言うから
そうなってしまったのだろうか
願いは、
思いは、 一種の希望でもあり 呪いでもある
強く思えば思うほど、 力を持った希望になり
先を照らす灯火にもなる
だけど、裏返ってしまえば
全てを呪い 妬む存在にもなり得る
どっちに転んでもおかしくないんだろうな
幠陏さんの元へ帰ることができる そう思うことができてたのなら
きっと 、呪いにはなってないんだろうけど
そう言いながら、
零夜さんがゆうさんの顔に手を当ててくれた
どうんたんだろう
う そ、
気が付かなかった
いつの間にか、目から涙が止まらなくなってた
上手く止まってもくれない
悲しいのか苦しいのか
いいや、そんなんじゃないんだ
寂しんだ
こんなにも綺麗に笑う零夜さんを見るのが
優しく 、誰よりも日向が似合うこの人が
誰よりも 、他の人を大切にできる
太陽みたいな人達が
こんなにも報われないのが
寂しくて悔しいんだ
泣き止ませるためにか
違う話を振ってくれた零夜さん
そっか、 零夜さんはちゃんとは分からないんだ
成長していく過程を少しも見れずに
ここにとどまってるから
そう
優しく答えてくれた












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!