第5話

2
2024/02/22 06:49
時は流れ 3週間後


いよいよ体育祭だ


体調も膝も万全じゃないが 私が出るのは――
今宮 彩季
みんな足速いじゃんやば笑

体育祭の目玉ともいえる ブロック対抗リレー


通称 ブロックリレー。




各ブロックから 走の王者が出るような種目

山城 紬凪
あ!さきもいんじゃん!!
今宮 彩季
つむぎいるの!?www
ソフト部における「走のスペシャリスト」


そう呼ばれるのが 紬凪



―――私が紬凪に勝てるわけがない。




ルールとしては、

1年女子 → 1年男子 → 2年女子


というように 3年男子のアンカーまで繋ぐ


って感じ。





アンカーは、、、
髙瀬 香樹
ちゃんと右手に渡してね


そう、香樹である。


50mを6秒台で走れる いわば バケモン
今宮 彩季
髙瀬ーー
髙瀬 香樹
どした?
今宮 彩季
うち左手で持ってればいい?
髙瀬 香樹
そっちのほうがいいでしょ
今宮 彩季
いやどっちでも大丈夫
髙瀬 香樹
そんで50mどれぐらいなの?
今宮 彩季
7.44ぐらい
でも分かんないもうちょい遅いかも
髙瀬 香樹
おけおけ

髙瀬 香樹
じゃあこの辺でスタートでいい?
今宮 彩季
だいたいそんぐらいかな
今宮 彩季
うちの声聞こえたらスタートぐらいの気持ちでいいよ
髙瀬 香樹
聞こえなかったらこの辺からで
今宮 彩季
おけー

髙瀬 香樹
じゃ、頑張ってね
今宮 彩季
髙瀬もこけんなよ笑
髙瀬 香樹
うるさいうるさい笑笑


響くスタートの号砲と熱狂の中 ひとつグータッチを交わした。


緊張からか 香樹の手は震えていた
今宮 彩季
緊張しなくても大丈夫、うちもリハと同じように走るから
髙瀬 香樹
、、うん笑
今宮 彩季
こーき熱中症?大丈夫??
髙瀬 香樹
それは大丈夫だけど緊張がやばい
今宮 彩季
今更気にしないの

震える香樹の手を握り返すと 少し香樹の顔に笑顔が戻ったような気がした
髙瀬 香樹
ありがと
髙瀬 香樹
てか彩季の出番そろそろじゃない?
今宮 彩季
ほんとだ!

もう2年の女子が走っている


意外とそろそろだ。
山城 紬凪
さきーーーー!!
今宮 彩季
これさ、、
山城 紬凪
おめでと笑
たぶんレーン隣だよ!!
今宮 彩季
終わったあああああああ

紬凪の白ブロが 2番手、私たち青ブロが 3番手の 状態で バトンが回ってきそうな 感じがする。
髙瀬 香樹
さき!

香樹から声をかけられた
髙瀬 香樹
お前がこけても僕がなんとかする

髙瀬 香樹
彩季は今まで通り走ってこい
今宮 彩季
、、!!!
今宮 彩季
ありがとう!

その話の勢いで 香樹にハグをされた



まあいい。気にしないでおこう
今宮 彩季
じゃ、行ってくる!
髙瀬 香樹
がんばーー!!!

声援を胸に レーンについた



3レーンはいちばん走りづらいが 何とかなるだろう


リハでも3レーンだったので 慣れてはいる




いよいよ 私の番がきた。
バトンを受けとり 紬凪の背中を追いかける



今宮 彩季
(心の声)いや追いつけるか、、?!
山城 紬凪
(小声)さき来てんじゃんやべやべ




トラックの半分が過ぎた



気がつけば 1位を争い 紬凪と並走している



このタイミングで ある声が聞こえた
髙瀬 香樹
さき!!!1レーンで繋げ!!!!

香樹の声


あいつは 大きな声が出せないはず



それでもあの声量を 出してくれた ということ



――頑張らなきゃ。
今宮 彩季
(心の声)つむぎ抜かす、、!!!

バトンパスの直前で 私は紬凪を抜かした





そしてバトンパス



幾度となく 香樹と練習をした


幾度となく 失敗を繰り返した


でも、



私はずっと 香樹を信じてきた。
今宮 彩季
香樹!!!!!

私のか細い声は 声援へと溶けていったが 予想通りの場所で スタートを切ってくれた


そして――




髙瀬 香樹
(小声)任しとき笑

バトンを渡すことができた




私は転けたが。
山城 紬凪
さき、、、!
今宮 彩季
あーいや大丈夫、立てるから

とは言いつつ 紬凪の助けを借りて立ち上がった



紬凪の肩を借りて なんとか立っている状態。

山城 紬凪
男子もあと少しだね
今宮 彩季
髙瀬がトップなのか、さすが
山城 紬凪
うちの怜よりはやいじゃん?笑

※怜 は白ブロックのアンカーの子です!
今宮 彩季
そろそろくるよ!!
山城 紬凪
怜がんばー!!!
今宮 彩季
香樹がんばれーー!!!


最後 香樹は転びかけたが―――
今宮 彩季
香樹!!
髙瀬 香樹
!!

何とか私の声で 持ちこたえたみたいだ




そのまま1位で 香樹はゴールした。






私は香樹のもとへ 駆け寄った
髙瀬 香樹
走りきった、、、
今宮 彩季
おつかれ
髙瀬 香樹
ありがとね、
今宮 彩季
ん?何かしたっけ??
髙瀬 香樹
1レーンで回してくれたじゃん?
今宮 彩季
いやあれは香樹のおかげ。
髙瀬 香樹
ちょ、ちょっと///
今宮 彩季
あの声で持ち直せたから

今宮 彩季
ありがとう。
髙瀬 香樹
良かった、こっちこそありがと




体育祭は 私たちのリレーもあり 優勝できた。



そしてまた―――
髙瀬 香樹
さき、こっちきて。
今宮 彩季
ん?どした??

香樹に思いっきり 抱きしめられた
今宮 彩季
痛い痛い笑
髙瀬 香樹
いやサイズ感ぴったりだなって思
今宮 彩季
膝蹴り喰らいたい?
髙瀬 香樹
すいませんでした


私はお前の彼女じゃないんだぞ

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