時は流れ 3週間後
いよいよ体育祭だ
体調も膝も万全じゃないが 私が出るのは――
体育祭の目玉ともいえる ブロック対抗リレー
通称 ブロックリレー。
各ブロックから 走の王者が出るような種目
ソフト部における「走のスペシャリスト」
そう呼ばれるのが 紬凪
―――私が紬凪に勝てるわけがない。
ルールとしては、
1年女子 → 1年男子 → 2年女子
というように 3年男子のアンカーまで繋ぐ
って感じ。
アンカーは、、、
そう、香樹である。
50mを6秒台で走れる いわば バケモン
響くスタートの号砲と熱狂の中 ひとつグータッチを交わした。
緊張からか 香樹の手は震えていた
震える香樹の手を握り返すと 少し香樹の顔に笑顔が戻ったような気がした
もう2年の女子が走っている
意外とそろそろだ。
紬凪の白ブロが 2番手、私たち青ブロが 3番手の 状態で バトンが回ってきそうな 感じがする。
香樹から声をかけられた
その話の勢いで 香樹にハグをされた
まあいい。気にしないでおこう
声援を胸に レーンについた
3レーンはいちばん走りづらいが 何とかなるだろう
リハでも3レーンだったので 慣れてはいる
いよいよ 私の番がきた。
バトンを受けとり 紬凪の背中を追いかける
トラックの半分が過ぎた
気がつけば 1位を争い 紬凪と並走している
このタイミングで ある声が聞こえた
香樹の声
あいつは 大きな声が出せないはず
それでもあの声量を 出してくれた ということ
――頑張らなきゃ。
バトンパスの直前で 私は紬凪を抜かした
そしてバトンパス
幾度となく 香樹と練習をした
幾度となく 失敗を繰り返した
でも、
私はずっと 香樹を信じてきた。
私のか細い声は 声援へと溶けていったが 予想通りの場所で スタートを切ってくれた
そして――
バトンを渡すことができた
私は転けたが。
とは言いつつ 紬凪の助けを借りて立ち上がった
紬凪の肩を借りて なんとか立っている状態。
※怜 は白ブロックのアンカーの子です!
最後 香樹は転びかけたが―――
何とか私の声で 持ちこたえたみたいだ
そのまま1位で 香樹はゴールした。
私は香樹のもとへ 駆け寄った
体育祭は 私たちのリレーもあり 優勝できた。
そしてまた―――
香樹に思いっきり 抱きしめられた
私はお前の彼女じゃないんだぞ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。