💛サイド
うーん。なんか音がするな。
ピンポン鳴ってる?いや近所の人か。
〜♪̊̈♪̆̈
スマホの着信音がして、目が覚める。
なんだよ……寝てんだから起こすなよ。
若干イラつきながらスマホを手に取り、画面を見ると——そこには勇斗の名前が表示されていた。
あ……勇斗なら無視しても大丈夫ですね。
まだ眠いし、後でかけ直すわ。そう思いながら音を切ると——
玄関から元気な声がする。
❤️「じんちゃん〜おる?」
🤍「絶対居るでしょ……はよ出てこい」
💙「なんで誰も吉田さん家の合鍵持ってないねん!」
……これはメンバーの声かな?
なんで来てんの?今日なんも約束してないでしょ。
ってか昨日めっちゃ嫌な態度取ったのに、なんで会いにくんの?
🩷「仁人電話出ねぇんだけど!あいつわざと無視してんじゃねぇの」
——あ、バレた。
このまま玄関前で騒がれるとご近所さんの迷惑になる。
そう思いながら洗面所に向かい、歯磨きと洗顔、スキンケアをする。
いや、人と会う時は身なりはしっかりしなくちゃね。
別に少しだけ時間を置いて帰って欲しい訳じゃないよ。
身なりを整えた俺は、静かになった玄関に向かう。
ドアスコープから覗くと——誰もいなかった。
よしっ。このまま朝ごはん買いに行こう。
そう思って扉を開けた瞬間——
ドアの隙間に足を差し込まれる。
💛「えっ!?」
顔を上げると、ニコッと笑う勇斗と目が合った。
🩷「おはよう♪じんちゃん。居留守なんてしちゃダメでしょ」
🩷「ちゃんと出てくるまで待ってたんだから」
💛「ひっ!」
喉から小さな悲鳴が漏れる。なんでまだ居んの?
俺ドアスコープで確認したのに!
勇斗はドアの隙間に足を入れたまま、そのまま体重をかけて押し開けようとしてくる。
🩷「お邪魔しまーす」
💛「ちょっ、待て!」
俺は内側から必死にドアを押し返す。
ドア越しに、勇斗と力比べみたいな状態になる。
💛「やだ!帰って!俺今日はひとりがいいの!」
🩷「こら♪わがまま言わないで、はやく部屋の中に入れなさい」
押し合ってるはずなのに、勇斗は楽しそうに笑う。
ふと気づくと、勇斗の片手が腰に回って——そのまま尻を撫でる。
💛「ひゃ!何するの!?」
🩷「いやー俺もっと積極的に攻めてみようかなと思って」
な、そんな……!
いつも積極的ですけど!?
勇斗と押し問答をしていると、また騒がしい声が聞こえる!
💙「よし!牛乳とあんぱん買い込んだからこれで仁人が出てくるまで見張れるな!」
❤️「そうやな!なんか刑事みたいで俺らかっこえぇわ」
🤍「ね〜笑 はやく犯人のじんちゃん捕まえたいね」
いや!なんで戻ってくんだよ!俺犯人じゃないし!
🩷「みんな、仁人捕まえたぜ」
勇斗の呼び声に、全員が一斉にこっちへ駆け寄ってくる。
——もういいや、めんどくさいし。
仕方なく俺はメンバーを部屋の中に入れる。
絶対5分ぐらいで帰してみせる。
⸻
🩷「じんちゃん朝ごはんまだだよね〜。俺作るからゆっくりしてて」
💛「いや!いいからやめて!」
朝から佐野飯はキツすぎだろ。
💙「吉田さん!ベッドぐちゃぐちゃやん!ちゃんと朝起きたらベッドメイキングせなあかんよ」
💛「ちょっと!勝手に寝室に入るなよ!」
2人を止めようとあたふたしていると——
柔太朗が後ろから抱きついてくる。
🤍「じんちゃん」
耳元で囁くような声。
振り向くと、色気ダダ漏れの目で見つめられる。
🤍「2人のことばっか見ないで。はやちゃんがご飯作ってる間、俺のこと殴っていいよ」
💛「いやなんでだよ!?」
朝から何聞かされてんだよ!
柔太朗Mだったのか!?
そのタイミングで、隣から舜太が俺の腕を引っ張る。
❤️「いや!じゅうやなくて俺と…」
💛「うん?」
❤️「……いや、じんちゃんとやりたい事多すぎて逆に何も浮かばんわ笑」
なんだよ!何もないのかよ!
❤️「あ!じんちゃんあんぱん好き?俺があーんしてあげるわ」
舜太は袋いっぱいに入ったあんぱんを見せつけてくる。——これだ!
💛「よし!みんなであんぱん食べようぜ!俺あんぱん食べたいー!みんな集合」
勇斗と太智が不満そうな顔をしているが、これ以上好き勝手なことをされたくない。
🤍「じんちゃんなんで俺の事殴ってくれないの?」
まだなんか変なこと言ってるよ。いいからはやく変な性癖から卒業しろ。
みんなでもくもくとあんぱんと牛乳を食べる。
ちょくちょく舜太があーんしてくるけど、どうせ同じあんぱんだ。二度手間だからやめろ。
💛「これ食ったら帰ってね」
💙「いやや!僕今日から仁人と価値観合わせたい!」
❤️「じんちゃん今日どうせ予定ないやろ?俺と過ごそうや!」
🤍「じんちゃん殴る気分じゃないなら蹴ってもいいよ。その間俺ちゃんと蹴りが当たりやすいようにしゃがんでるよ」
🩷「俺とドライブ行こ!仁人もたまには外に出なきゃダメだろ」
いや、帰ってくれ無さそう。
柔太朗頼むから変な性癖を俺に押し付けないでくれ。あとしゃがむってなんだよ!別にしゃがまれなくても蹴りぐらいできるわ!
💛「ごめんけど、今日人と予定あるから。ほんと帰って」
もちろん嘘。はよ帰れ。
🩷「俺たちとの約束破って他の奴と会う気なの?」
💛「やっぱなかったわ」
勇斗怖いって。なんでそんなにいきなり雰囲気変わるの。
💙「そうやろ笑笑 仁人友達おらんもんな」
❤️🤍「確かに〜笑笑」
年下コンビが顔を見合わせて、太智の発言で笑ってる。……いや笑いすぎ。
🩷「あはは!でも恋人は居たんだろ?俺たちに内緒で知らない人と付き合ってたらしいじゃん」
笑顔のまま、勇斗が爆弾発言をする。
え……恋人ってなに?なんの話だっけ?
🩷「昨日さ」
ぽつりと、勇斗が続ける。
🩷「22時くらいに言ってたよね」
🩷「“付き合ったらクズだよ”って」
💛「……」
🩷「あれ、元カノの話でしょ?」
ゆっくり、一歩近づいてくる。
笑ってるのに——目だけが、全然笑ってない。
逃げ場がない。
🩷「ねぇ」
🩷「まだ好きなの?」
💛「は?」
思わず声が出る。
なんでそんな話になるんだよ。
💛「いや、別にそういう意味じゃ——」
🩷「俺たちなんかどうでもいいの?」
しーんと、さっきまで笑っていたのが嘘みたいに静かになる。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!