「お風呂一緒じゃないの?!」
大きな子供が駄々をこねる。
その長い足のまわりをラムが高速で駆け回る。
めっちゃシュール(笑)
「お風呂恥ずかしいじゃん。」
「でもこれからもっと恥ずかしいことだっていつかするわけじゃん?」
「でも今日じゃないよね?
岩本くんはちゃんと段階を考えてくれるよね?」
「考えますー、
一人で入りますー。」
と彼はリビングから出て行きつつ、
「ねぇ、やっぱりさぁ、」
と不服申立てに戻ってきた。
「じゃあ私が先に入るから。
シャンプーとかおわったら声かけるからきてくれる?」
「わかった!!」
さっきまで目尻を下げていたのにパァッと顔が華やいだ。
すごく感情表豊か。
テレビの中ではクールな印象だったのに。
私はいつもより念入りにクレンジング、シャンプー、トリートメントをして。
入浴剤をいれて湯船の中が見えなくなってから彼を呼んだ。
彼は嬉しそうにニコニコしながらバスルームに入ってきた。
私は恥ずかしくて目をそらす。
横にかけてあるシャンプーとトリートメントを使ってもらい、ボディソープはそのボトルだと教えてあげる。
「ほんといい体してるよね。
きれい。」
「ありがと。」
岩本くんは洗い流して立ち上がった。
バスタブに入ってくるのがわかる。
「あなたの下の名前ちゃん、あっち向いて。」
言われた通り前を隠しながら岩本くんに背中を向けると後ろから抱きすくめられた。
大きな身体にすっぽり包みこまれる。
「これなら恥ずかしくないでしょ?」
耳元で囁かれるとなんか、くすぐったい。
「ねぇ、あなたて呼んでいい?」
お付き合い前提の付き合いだから、遠慮はしないてことかな。
「いいよ。」
「俺のことも下の名前で呼んでよ。」
「あ、テレビ見てたらひーくんだよね。」
「ひーくんでも照でもいいよ。
呼びやすいので。
でもずっと岩本くんはなんか他人行儀じゃん。」
「じゃあひーくん?」
「照のが呼びやすくない?」
「くんつけないのも何かえらそうじゃない?」
照て呼ばれてるのを聞かない私からすると、照と呼び捨てにするのはちょっと照れくさい。
「じゃあ照てよんで。
照がいい。」
ぎゅって力を込められると身体の密着度合いが増して逃げたくなる。
「ひ、ひかる、離してよ。」
「もうちょい。」
彼はドキドキしないんだろうか。
私はもう心臓がバクバクなりすぎてそろそろ上がりたい。
「帰る前にさ、キスマークとかつけていい?」
彼の驚き発言に私の心臓がギブアップを訴えた。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!