部活を辞めた。
あんなに大好きだったのに、
辞めるのってこんなに呆気なかったっけ
みんな、困惑してるかな。
心配してるかな、...、いや、失望してるか
“見損なった”
“大嫌い”
“最初から居なければよかったのに”
“邪魔だった”
いなくなったら、こう言われてきた。
友達にも、家族にも、“親友だった人にも”
さっき、校長に退学届を突き出してきた。
“私は、もう。烏野の生徒じゃない”
もう。関係がない。だから、アイさない
そんな思いを胸に抱いたけど。
そんなものは、儚く砕けた
そう思って、見たときには遅くて
見たくない光景で、消えてしまいたくなって
なんで見てしまったんだろうって、後悔が押し寄せてくる
だってそこには、
嬉しそうな顔をした及川さんと、
おそらく及川さんのことが好きな、女の子がいて、
こっちを見て、くすって、女の子は笑った
もう、見てしまったら、
自己嫌悪と自己否定が、押し寄せてくる。
死にたくなって、消えたくて、
音もなくここを去りたくて
もう、何も考えずにここを去って、
いなくなった方が楽だから、足を早めた
スピードをはやめて、追いつかれないように。
涙を流してるのを隠すように
みんなにバレないように、助けを求めないように
いまは、いまだけは、味方になって欲しくないから
涙なんて、アイなんて、
消えればいいのにって何回も思った
あの子はきっと、
“私のことが邪魔だった”
好きな人に近づくにも、私がいて
“消えたらいい”って、何回も思ってた
バレー部を辞めた。
親に捨てられた。
みんなから、見て見ぬふりをされた。
リストカットをした。
overdoseをした。
自殺未遂なんて何回もした。
何回も何回もタバコを吸って、肺を汚した
その度、ヒーローに止められたけど
だって、誰も助けてなんてくれないから。
生きる意味を見つけてもみんな離れてく。
なら、いない方が楽じゃないか
そう思って、私は飛んだ________
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!