暦の上ではもう夏らしいが、まだまだ春の陽気が心地よい時季。
そんな頃合いのとある放課後、僕は数学教師の言葉に肩を落としていた。
授業が終わるとすぐさま数学教師は僕のもとに近寄り、小さな紙切れを机に置きながらそう言った。
先生の前で軽く文句を垂らしながらうなだれる僕と、「提出物ちゃんと出さないからでしょーw」等と笑いながらいいつつも優しく宥めるぜんいち。
この後ふたりでケーキ屋さんに行ってからぜんいちきゅんの家に寄ってさりげなく"そういう雰囲気"に…なんて僕の計画を台無しにした事は、彼女いない歴年齢の先生には理解できないんだろうな……あぁ可哀想に…
補習は嫌だし、すごくめんどくさい。
けどぜんいちがまっててくれるならちょっと幸せだなぁ…
仕方ない、ぜんいちのために秒で終わらせて即戻ってきちゃうんだから!
そう意気込んで僕は隣の教室へ足を運んだ。
【ぜんいち視点】
どれほどの時間が経ったのだろうか?
今日の宿題が全教科分終わるくらいだから1時間ちょいはたったのかな…
ちゃんと時計を見ておけばよかったと今になって少し後悔する。
僕はシャーペンを置き、軽く伸びをした
カチ……
カチ……
カチ……
カチ……
時を刻む無機質な音だけが教室に響き渡る。
いつもはどれだけ耳を澄ましても聞こえない音なのに、今はまるで耳に刺さるようにうるさく聴こえた。
やっぱりあの先生に捕まるとろくな事が無いのだろう。
すぎた時間と時折聞こえてくる先生の無駄に大きな声がそれを物語っている。
教室に1人だからといってべつに寂しいわけじゃない。
寂しくはないけど…マイッキーが居ないとやっぱり退屈かもなぁ
それに実際、マイッキーに出会うまで僕の日々はただルーティンを繰り返すだけの作業ゲームのようなもので、虚無感でおかしくなりそうなほど退屈な生活を送っていたのだ。
いつかこの退屈が終わればいいのに…そう思ってはいたものの、断念してしまい引きこもりへと化してしまった自分にも嫌気がさしていたし……
だからこの退屈を終わらせてくれたマイッキーには本当に感謝している。
マイッキーとは色んな事をしたし
色んなところに行ったし
それに数ヶ月前から付き合ってるし……!!
そんな記憶の数々にぼーっと浸っていた時、
教室の窓際にぽつんと放置された椅子が目に入った。
誰がこんな所に置いたんだろう…
そんなどうでもいい疑問を抱きながらも、僕はなんとなくその椅子に腰かけた
太陽に照らされた背中は、じんわりとした心地の良い暖かさに包まれていく。
そうか、窓際だから陽光がよく当たるんだな…
【マイッキー視点】
やっとだよ、やっと終わった!
僕は乱雑にカバンに教科書を詰め込むと、教室の扉を足で開け、廊下を全力疾走する。
なんて怒鳴る先生を適当にあしらい、教室の重たいドアに手を触れた。
ぐっと力を込め、片引き扉を開けると…
続く!















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。