放課後
私は忘れ物をした
でも、今日のことを思い出す
急いで帰らなきゃ
足が速まる
廊下の角を曲がろうとしたその時
ドガっ
目の前がふさがれた
ドンッ
漫画でしか見たことがないシチュエーション
『壁ドン』
壁が鳴り、あなたの方が跳ねる
低く笑う声
と、同時に顎をつかまれ、強引に持ち上げられる
逆らえない、重厚感のある圧
シアン色の瞳が至近距離で揺れ、底の見えない闇が覗く
指先が顎から喉元へ、ゆっくりとなぞる
触れ方は優しいのに、離れる気配がない
ナイトメアは私の耳元に顔を近づける
最後に、額に軽く触れるほど近づいてから、離れる
スッっと首元に何か刺されたような感覚がした後、私は急に眠気に誘われた
声が遠ざかる
私は聞こえなかった














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!