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第2話

tnut
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2026/02/03 11:16 更新


tnut







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コンコン、 と 静かな夜に扉を叩く音が鳴り響く。

『…』
何も言わずに僕はその扉を開ける。 本来なら誰か確認するべきだろう。
だがそんなことしなくても、今目の前に居る人物が誰なのか僕には分かってしまうのだ。

『…どしたん』
扉を開け、目の前の人物に声をかける。

数秒黙ったままで不思議に思っていると、彼が口を開いた。

「…怪我は」

怪我。 嗚呼、 これのことか。 こいつには言うなって口止めしたんに…


「なんですぐ言わんかってん俺に」

『スマン、心配かけたくなくて…』

ふい、と視線を彼から逸らす。
彼には、言うべきではないと思っていた。

「…無理せんといて、怪我なんてせんといて、」

『ッ…』

彼が1歩近づく。 僕をそのまま力強く抱き締め離さないように。

「俺には、お前だけなんや、居なくなって欲しくない」

…ほら、こうなるから知られたくなかってん、怪我のこと。

『…居なくならんよ、僕はずっととんちの傍におる』

「約束やからな、居なくなったら許さん、死んでも許さん」

そんな事を言いながら僕の頬を撫でる。彼の顔を見ると少し苦しそうな顔。 そんな顔せんといてや、

『…僕ら、付き合ってへんのにな、』

なんて、言葉が落ちる。 そう、 付き合ってないんだ僕らは。 なのにこんな、 互いがいないとダメで、 生きれなくて、依存してしまっている。

「知っとる、 でも、 俺は、」

『ダメ』

何かを言いかける彼の言葉を制止する。

「ッ…なんで、」

君が付き合いたいって、思ってくれてるんは知っとる。 でもな、 ダメなんや


『…ごめんな、』

「…、」

黙ったと思えば 先程より強く抱きしめられる。
感情が伝わる。 僕は彼を見つめたまま

『…近い』

「今更やろ、」

君の顔が近い。 何回も、見慣れた距離だ。

ちぅ、 と そのまま僕らの唇が重なる。

最初は軽く触れるだけ。確かめるように。
離れたと思うと、また触れる。

今度は、逃がさないように、貪るように、でも優しく唇に噛み付いてくる。

『っ…ん、ぅ…、』

少し息苦しくなる。 それに気付いたのか

「…やめる?」

と、 口から離れる。 つー、と 銀色の糸が僕らを繋ぐ。

『…やめへん』

やめるわけない。 彼の服を きゅ、と掴む。

「知ってる」

何度も触れる。 優しく、 安心させるように。


頬、額、 色々な所に口付けを落とされる。
そして最後にもう一度唇を重ねる。

「…俺だけ、見とって」

そう言うと、僕を抱きしめ 胸に顔をうずめる。

『束縛?』

付き合ってへんのに。 なんて 彼の頭を撫でながら思う。

…縛ってるんは僕の方や。 君は、僕に縛られてる。


逃げ道なんて、ないんや。






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