隣で聞こえる、静かな寝息。
風間に無理やり休まされた迅が、まだ眠っているのだ。
薄いブランケットに包まれた迅は、穏やかな表情で眠っていた。
その横顔を見た瞬間───
あなたの胸がきゅっと鳴る。
任務中の迅は、どんなときも落ち着いていて、どんな敵にも動じない。
でも今、目の前にいる迅は……年相応で無防備だった。
髪が少し乱れて頬にかかり、唇が、ほんの少しだけ笑っている。
あなたは思わず、小さく息を呑んだ。
そう思った瞬間、顔が熱くなる。
”かっこいい”しか知らなかった迅に、こんな“かわいさ”があるなんて。
そっとベッドのそばにしゃがみ込むと、あなたの指先に、かすかな温もりが触れた。
……迅の手が、あなたの手を探すように動いて、そのままぎゅっと握りしめてきた。
あなたはびくっとして動けなくなる。
けれど、次の瞬間。
迅が、幸せそうな顔で口を動かした。
その一言が、仮眠室の静寂に落ちる。
あなたの鼓動が、跳ねた。
慌てて手を引こうとしたけれど、迅の手は思いのほかしっかりと握ったまま離してくれない。
そのぬくもりに、あなたの頬はみるみる赤く染まっていく。
そう囁くと、迅の口元がふわりと緩む。
その穏やかな寝顔を見つめながら、あなたの胸の奥にも、不思議な温かさが広がっていった。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!