翌朝。
迅はいつものように会議に出て、風間と遭遇した。
……のだが。
風間の低い声が飛ぶ。
迅は気まずそうに目を擦りながら、苦笑いした。
風間はジト目で睨みながらも、どこか呆れたようにため息をつく。
あまりに強引な一言に、迅は両手を上げて降参した。
───仮眠室。
簡易ベッドに寝転がった瞬間、迅の頭の中には昨夜のメッセージが浮かんでいた。
”好き”
あなたの、あの一言。
思い出しただけで、胸の奥が熱くなる。
……そんな時だった。
……と、そこへ勢いよく扉が開く。
そこに立っていたのは、大慌てで息を切らしたあなただった。
矢継ぎ早に飛び出す言葉に、迅は思わず笑ってしまう。
そう言って、迅は上半身を起こした。
そして、隣に座るように手招きする。
促されるまま、あなたはおずおずとベッドの端に腰を下ろす。
あなたの目がまん丸になる。
迅は小さく笑って、天井を見上げた。
あなたの耳まで真っ赤になった。
視線が落ちて、両手をぎゅっと握る。
そう言って、迅はふっと笑う。
手を伸ばして、あなたの髪を軽く撫でた。
それだけで、あなたはますます顔を真っ赤にして俯いた。
言い返せずに固まるあなたを見て、迅は目を細めた。
その言葉と優しい笑顔に、あなたの胸がじんわり温かくなる。
仮眠室の静かな空気の中、迅の穏やかな寝息が聞こえ始めた。
あなたはそんな彼の横顔を見つめながら、小さく囁く。
……答えは、ない。
けれど、迅の唇が微かに笑っているように見えて、あなたはそっと笑った。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。