あらすじ)
佐久間足の病気で活動休止中。
メンバーにチケットを貰い車椅子でsnowmanのライブに参戦することに。
マネージャーに案内されて、佐久間は車椅子を押されながら客席の端へと向かっていった。
照明が落ちていく。会場のざわめき、緊張感。
誰よりもこのステージを愛してきた自分が、今日は観客だ。
それでも、胸の奥で誇らしさが光る。
そして時は来た。
会場が大歓声に包まれる。
ライブが終わり、会場が拍手で包まれる。
照明が落ちても、まだその余韻が心の奥で光っていた。
客席の照明が少しずつ戻っていく中で、佐久間はまだステージを見つめていた。
手に握っていたペンライトが、ゆっくりと膝の上に落ちる。
ステージには誰もいないのに、まだそこにメンバーの姿が見える気がした。
光、音、歓声――全部が心に焼きついて離れない。
その言葉に、佐久間は一瞬だけ笑顔を止めた。
目線を下げ、少し唇を噛む。
廊下を進みながら、佐久間は車椅子のハンドリムを回した。キュッ……キュッ……という音が静かな通路に響く。
めめのソロの部分めっちゃ良かったし、康二のあの中盤のダンス、絶対アドリブなんだよなぁ。あれも良かったなぁ。ていうか翔太今日喉の調子よすぎない?めっちゃ遠くまで聞こえてたよな。
そして冷静に考える
ピンポーン。エレベーターが止まった
ドアが開く。
中に入り、B2を押す。
閉まりかけの扉の中で、佐久間は深呼吸をした。
チンと着いて外にでると既に遠くからメンバーたちの声が少しだけ聞こえた。
ゆっくりとタイヤを動かし進んでいく。
言いたいこと、伝えたいこと沢山抱えて。
心の奥では、さっきまでのステージの光景がまた蘇ってくる。
照の声。ファンの歓声。自分の居場所だったあの舞台。
今はその外にいる自分。
嬉しくて、少し怖くて、
少し立ってノックしようとしたその時
ドアを通り越して聞こえる楽しそうな声。
あ、、そうだ。
今日、俺は、ここにいないんだった。
目元が滲みはじめる
胸の奥に、小さく黒い波が広がっていく。
その波は、今日のステージを思い出すほどに静かに押し寄せた。
ほんの少しだけ、息が詰まる。
また弱さを人のせいにしたなと、思いながら自分に言い訳するように呟く。
車椅子の向きを変えて来た道を戻りだした、その時だった。
続く












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。