第2話

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2024/06/17 08:26


あの日からどれ位経っただろう


もう全部どうでも良くなって、覚えていない

学校に行っても最初こそ心配されたものの段々と皆は足の無い僕を見下す様な発言をするようになったり、わざと痛む利き足の部分を強く触ったりする


もう心底どうでも良くなっていた


でも、僕は変わらずサッカーが好きで


自分が出ていた筈の試合や


有名な海外のチームの試合なんかも見ている


そういえば僕のチームは全国大会


準決勝で負けてたなぁ


決勝まで行って欲しかった…


あ、あと…近々最近話題のブルーロックとかいう施設とU-20が戦り合うんだっけ


ブルーロック


僕の足が切断されて間もなく発表されたプロジェクト


世界一のストライカーを生み出すための施設


糸師冴も日本代表側で参加するらしい


僕は只興味が湧いたんだ


だから久しく外に出て試合を生で見ることを決意した





















十数日経って試合当日


重い体を起こして母に車椅子を押して貰い、


父には松葉杖を持ってもらい


家を出た


家を出て人気のある場所に向かえば向かう程


人の視線が増える


そりゃそうだ片足が無いんだから


それに偽足もしていない


親2人はその視線を気にしている様だったが


僕はもう馴れてしまったので気にしない





















着いた


ここからは松葉杖を使って移動する


エレベーターが大変混雑していた為、


階段などは父に肩を借りて上る


途中何度か転がり落ちそうになったが父が支えてくれた


母は車椅子を専用の処に置いて僕を励ましながら一緒に上っている


もう少しで観覧席に着く


そんな時だった


足を滑らせた


父が


僕を支えてくれている父が足を滑らせてしまえば僕はもう如何する事も出来ない


この階段はまぁまぁ急で、頭から落ちたりなんかしたら最悪の場合頭をぶつけて死んでしまうだろう


今度こそ僕は死を覚悟した


父は足でも挫いたのか階段に手を付けて此方を見ている


母は目を丸くして急いで此方へ向かって来ている





だけど止まる事無くコートへ落ちていく僕


駄目だ


そんなやらわかい目でそう悟った時だった


ダダダダダダダダッ


何かもの凄い勢いでこちらに誰か走ってくる


ドンッ


そして階段のコンクリートではなく、何か温もりのある物にぶつかった


そして今、受け止められるような形で人らしき者を僕は下敷きにしている


「大丈夫ですか?!」




必死に声を掛けられるが先程の恐怖で意識が遠のいて行った























どうやら僕は目を覚ました


右には母が


左には父が座っている

又この光景


今回は誰かは分からないが


誰かが庇ってくれたお陰で体に異常は無い




少しだけ見た景色では地面が芝生だったので
選手の誰かが助けてくれたのだろうか


そんなコトを考えている時だった


突然母は僕に真っ直ぐ前を見るよう促した


そこにはもうブルーロックと日本代表の試合が始まっていた


あぁ…


又僕は逃したんだ























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