前の話
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四月二十九日。
学年が一つ上がって新しいクラスに少しずつ馴染んできたころ、私は生まれて初めて人が死んでいく様子を目の当たりにした。
生徒玄関の前にある大きな広場に小柄な少女が静かに横たわっている。
その少女を「姫」と仰ぎ囲んでいる四人の男たちの呼びかけに少女が応じる気配はない。
やがて「姫が亡くなられました…。」と告げると共に、四人の男たちも倒れてしまった。
私が通うこの久川高等学校には、古くから「姫」と四人の「戦士」が存在する。
「姫」にも「戦士」にも共通する特徴として先代が亡くなるもしくは高校を卒業するときに新たな「姫」や「戦士」が誕生すること、妖が見えることなどがある。
妖にとって「姫」の魂は極上の糧になるらしく、「姫」が命を狙われることは尽きない。
そんな「姫」を守るために火、水、風、雷を操る能力を与えられた四人の「戦士」は「姫」が亡くなると能力を失ってしまい、新たな「戦士」が生まれるらしい。
先代の「姫」である宮代芽衣さんが亡くなった今、まわりを取り囲んでいた「戦士」たちの目は色を失い、能力の象徴であった大きな杖は霧のようになって消えてしまっていた。
しばらくして、私たち一般生徒には見えない妖との戦いを離れて一部始終見ていた生徒たちがなにやらざわつき始めた。
…次の「姫」には誰が選ばれるのか。
皆が口を揃えてそう言葉にする。
中には「あのような死に方はしたくない。」と言ってみたり、「私だけは選ばれませんように…!」と願ったりしている生徒さえいた。
人が一人亡くなったというのになんと不謹慎な。
私が呆れてため息をついたそのときだった。
『うっ…。』
突然、全身が痺れるような感覚が私を襲った。
隣で私を心配する幼馴染の声が微かに聞こえるが、今の私にはそれに応じる力はなかった。
私の体を少しずつ蝕むように浸透してくる熱い感覚に耐えきれず、私はへなへなとその場に座り込んだ。
私をめがけて迫ってくるこの世のものとは思えない生き物に死さえ覚悟した。
私の記憶はそこで途切れた。
私が新たな「姫」になったことを悟るには充分すぎる出来事だった。
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キャラクター図鑑
①あなたの名字 あなたの下の名前
役職:姫
所属:久川高等学校二年三組
誕生日:二月四日生まれ
血液型:A型
部活動:帰宅部











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。