マサの目の奥は疑いの目しかなかった、小さな時まで「才能がある」と言ってくれた母が急にやめろと言った日を「夢に向かって頑張って」と言ってくれた先生が親の前では頷くことしかしなかったことを忘れられなかった
目を合わせずうつむいたままマリーに向かっていった
その時は異様に図書館がシンと静まりかえっていた、まるでこの空間に一人しかいないような、そんな感覚だった
作り笑いで対応されているのが簡単にわかった。淡く綺麗な水色だったその瞳の奥は、深い深い海のように暗く染まっていた
そのままマリーは小さなバックを持って図書館を出ていってしまった
図書館でそんな独り言がポツリと出て、消えた
そのあと本を読む気も失せ、本を元の場所へ戻し、財布を手に持ち家へ帰った
返事はない、リビングに向かうとラップがされた今日の夕食が置いてあった、夕食をレンジでチンをする、その3分間スマホをちらりと見る
何気なく明日の予定を見てもう少しで夏休みだなぁとふと思ったときレンジがチーンなった
暖かくなった夕食をリビングのテーブルに置いて、食べる
味は…多分美味しかったのだろう
食べ終わった食器を水につけてからお風呂へ向かう、洗面所で服を脱ぎ洗濯機の上にパジャマと下着を置いてからお風呂に入る
体がだんだんあったまっていきリラックスができる、至福の時間だ、しかし、今日は昼頃のことを思い出す
「そっか…」
「ごめんネ!はやかったネ!」
あの無理をしていた顔が思い浮かぶ、急に知らない人外国人からトモダチと言われた、断るのが当たり前だと思う、それにこっちはただの自己満足な善意で助けただけだなのに…
なのに、あのニッコリとした表情が罪悪感をさらに膨らませていた
顔の半分ほどを湯船に付ける、ブクブクと音を立ててながら気泡が水中からお風呂の湿った空気に混ざっていく
それを二分ぐらいだろうか、息が苦しくなってやめた、でもあの時の思いは忘れられなかった
自分にはマサにはわからなかった、いつも勝手に決められていて自分で決めることがほとんどなかったから
風呂を上がり体を拭き、パジャマを着て、歯を磨いて、自室に戻りベットに潜る
今日はもう寝よう、今日のことは忘れようと目を閉じた












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。