第18話

拾漆
395
2026/04/24 06:00 更新


次に目が覚めた頃には、何故かあの魔女が少年に真顔で詰め寄られていた。
lrn
…次は勝つからな!
lrn
覚えてろよ!


そう、いつか本で見た捨て台詞を吐き捨て帰路を辿る。

今日で終わりじゃない。

いつか、魔女に勝って認めさせてみせる。





 













それから俺は、毎日魔女の家へと足を運んだ。


だが、虚しくも全敗。

それでも、行くたびに少々気怠そうではありながらも、嫌な顔せず毎回付き合ってくれる魔女と、少しずつ会話を交わして仲良くなった湊たちに会いに行くのは、段々と俺の楽しみになっていた。

定期的に連れていかれる城や、少年騎士団よりもずっと居心地がよかったんだ。



今日も家にやってきた。

少し話していると時間はあっという間に過ぎ、帰る時間になった。



寮についた頃には、外はすっかり土砂降りの雨が降っていた。


lrn
ただいま〜

今日の報告を教育係にしなければ、と彼の姿を探す。

廊下を歩いていれば、談話室の中から目的の人物の声が聞こえ、扉を開けようとした。


…が、ドアノブをひねる手が止まったのは、嫌な会話が耳に入ったから。







mb
あいつ、ちょっと褒めたら本気にして魔女に挑みに行ってよ
mb
ボロボロに負けてそのまま死ぬと思ってたのに無傷で帰ってきたわ
mb
その魔女も意味わかんねー
mb
あのガキが居なくなると思ったのによ




…信じたくない言葉の数々。

俺は、ずっと求められていなかったのか。

ずっと認められたかった人にこんなことを言われているのに、頭の中はやけに冷静で。

気づけばドアを開けて教育係を冷たい目で見つめていた。

mb
…は、お前、もしかして聞いてた?
lrn

小さく頷く。

そこからは、早かった。

俺が聞いていたと知るや否や、吹っ切れたのか荷物をまとめさせられて追い出された。

ローブ越しに冷たい雨が身体を打つ。

これから、どうしようか。

そう考えていれば、もうとっくに覚えてしまった優しい匂いが鼻を掠める。

lrn
…なんで、こんなとこ、

暗い夜の雨の中でもわかる。

毎日通い詰める俺をしっかり迎え入れて、相手をしてくれる人。

誰にも向けられたことのない、優しい瞳で俺を見てくれる人。

あなた
…予感的中〜
あなた
ま、的中してほしくなかったけど

そう、最初からわかっていたような口ぶりで言う彼女を前に落ち着いていた脳が混乱し始める。

lrn
なんで、
あなた
まだ私に勝ってないでしょ
あなた
毎日毎日森のなかの家にくんのもめんどくさそーだし
あなた
住み込みで家事の手伝いしてくれるなら勝てるように稽古つけてやろうか
lrn
……行く
あなた
よしきた
あなた
じゃ、これから私に勝てるよーにがんばろー


いつの間にかそう返事をしていた。



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