次に目が覚めた頃には、何故かあの魔女が少年に真顔で詰め寄られていた。
そう、いつか本で見た捨て台詞を吐き捨て帰路を辿る。
今日で終わりじゃない。
いつか、魔女に勝って認めさせてみせる。
それから俺は、毎日魔女の家へと足を運んだ。
だが、虚しくも全敗。
それでも、行くたびに少々気怠そうではありながらも、嫌な顔せず毎回付き合ってくれる魔女と、少しずつ会話を交わして仲良くなった湊たちに会いに行くのは、段々と俺の楽しみになっていた。
定期的に連れていかれる城や、少年騎士団よりもずっと居心地がよかったんだ。
今日も家にやってきた。
少し話していると時間はあっという間に過ぎ、帰る時間になった。
寮についた頃には、外はすっかり土砂降りの雨が降っていた。
今日の報告を教育係にしなければ、と彼の姿を探す。
廊下を歩いていれば、談話室の中から目的の人物の声が聞こえ、扉を開けようとした。
…が、ドアノブをひねる手が止まったのは、嫌な会話が耳に入ったから。
…信じたくない言葉の数々。
俺は、ずっと求められていなかったのか。
ずっと認められたかった人にこんなことを言われているのに、頭の中はやけに冷静で。
気づけばドアを開けて教育係を冷たい目で見つめていた。
小さく頷く。
そこからは、早かった。
俺が聞いていたと知るや否や、吹っ切れたのか荷物をまとめさせられて追い出された。
ローブ越しに冷たい雨が身体を打つ。
これから、どうしようか。
そう考えていれば、もうとっくに覚えてしまった優しい匂いが鼻を掠める。
暗い夜の雨の中でもわかる。
毎日通い詰める俺をしっかり迎え入れて、相手をしてくれる人。
誰にも向けられたことのない、優しい瞳で俺を見てくれる人。
そう、最初からわかっていたような口ぶりで言う彼女を前に落ち着いていた脳が混乱し始める。
いつの間にかそう返事をしていた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!