嘘だろ。
思ってみれば、あれだけ一緒にいたのに私は彼の年齢は知らなかったし、私が小さい時からずっと彼の容姿は全く変わらなかった。
元から人間ではないことは知っていたし、私自身もそうだからあまり疑問に思わなかったけど、今思えばそれにしても彼は普通ではなかったとわかる。
とやさんも…???
私に向かって優しく微笑んだあと、刀也を見てにやりと笑う師匠。
知り合い?いやそんなわけはない、だって刀也が生まれた頃にはとっくにガクは死んでるはず。
約1000年前
森の中に建った、立派な屋敷。
其処には、ひとりの狐の神と、ひとりの不老不死の少年が住んでいた。
様々な種族が生きるこの世界では、人の形をした、人でない彼らは特段珍しいと言いうわけではなかった。
……ただふたりとも、深く関わらなければ、普通の人間に見えるというだけ。
無駄に大きな家にひとり取り残されたガクが魔女の少女に会ったのは、彼が出て行ってから2年ほど経った頃だった。
この頃、2歳のあなたはひとりで伏見の森に迷い込んでしまっていた。
たったひとりで沢山歩いたであろう薄汚れた小さな身体は、もう体力も限界に見えた。
神の気まぐれ、と言ってしまえば、それで済んだのだろう。
だが、彼よりは幾分も大きいが、飴玉のように輝く、彼そっくりの翡翠にひかる瞳を見たら、どうにも放っておけなくて
…それに、無駄に広い部屋に、ひとりきりというのは、久しぶりになると前よりも寂しく感じてしまったから












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。