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第1話

8月終わりのカレー
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2024/03/06 11:40 更新
暑い…ひぐれは寝てるし…
黒
姉さん…死んだかな?
練海大闘争(ネリウミダイトウソウ)から5年。街は簡単に戻りはしなかった。
黒
8月も終わりか…
終わりだというのに、蝉はけたたましく鳴いている。
ひぐれ
うん…黒…?
黒
起きたか
ひぐれ
どうしたの?泣いてる
まだ10歳の少女に見抜かれるとは。
黒
見てみな、この街
ひぐれ
何も無いね
黒
確かにな。でも、ここにお前がいる、それだけで有るんだ
ひぐれ
…?
こう、ちょっとだけ達観したように言ったが、私も12の少女だ。
黒
さて、昼にしますか
ひぐれ
今日もパンケーキ?
黒
あぁ、パンケーキだ
今住んでいるこの家は、鶴月家と関わりのある黒井家から貰った家だ。
黒
悪いな、これしか作れないもんで
ひぐれ
いいよーだ、美味しいし
嫌なのか好きなのか、どっちだよ
黒
後で買い物に出るぞ
ひぐれ
は~い
まだ10歳なんだよな。
黒
絶対に守んないとな
ひぐれ
ま〜だ〜?
黒
はいよ、出来たから
メープルシロップをかけて出来上がり。
ひぐれ
いただきます
黒
いただきます
一週間ずっとパンケーキ。飽きるよな。
黒
美味しいか?
ひぐれ
うん!
自分も好きだけど、流石に飽きてきた。
ひぐれ
ごちそうさまでした~
黒
明日は違うものにしようか
ひぐれ
じゃあ、ご飯がいい!
黒
久々に炊くか
家事は一通り教えてもらっといて良かった。
ひぐれ
手伝うよ
黒
ありがとな
手伝ってくれたおかげで早く洗い終わった。
黒
買い物行くか
ひぐれ
行こう!
歩いてすぐのスーパーでの買い物。
黒
今日は肉かな
ひぐれ
え〜ずっとじゃん
黒
じゃあ、魚か?
ひぐれ
んと、カレー!
カレーね。姉さんが作るのは世界一なんだよな。
黒
姉さんには及ばないが、作ってやる
ひぐれ
姉さん?
黒
年の離れたのが一人。不器用な女だよ
ひぐれ
ふ~ん
死んだ…なんて言えないよな。
黒
人参、じゃがいも、玉ねぎ、牛肉、こんなもんか
ひぐれ
はい、カレールー
黒
お、忘れてた
いつもの具材を買って家に帰った。
ひぐれ
早く作ろうよ
黒
待てって、準備しないと
まな板や包丁を準備してっと。
黒
ひぐれは作れるのか?
ひぐれ
出来るよ、お母さんに教えてもらったから
黒
へぇ~、じゃ任せて良いか?
家事は一通り出来るが、料理だけはてんで駄目でね。
ひぐれ
良いよ、任せてよ
内心笑われた気がした。下手だから何も言えない…
黒
野菜ぐらいは切れるからな
ひぐれ
じゃ、切ってて
野菜達を渡して鍋を用意し始めた。
黒
一口サイズにっと
ひぐれ
お〜そ〜い
黒
な、ひぐれも切れよ
ひぐれ
仕方ないな〜
完全に上に立たれてる。ま、当然だがな。
黒
終わったぞ
ひぐれ
おそ〜い
俺が切り終わったときには、ひぐれは肉まで切り終わっていた。
黒
く、負けた…
ひぐれ
何に?
黒
いや…なんでもない
懐かしい…姉さんと一緒に作ってたなカレー。
ひぐれ
玉ねぎ、目に染みた?
黒
な、泣いてないから!
ひぐれ
そ、そう?
また、泣いてたか。忘れたくてもな…
ひぐれ
後は煮込むだけだから、座ってて良いよ
黒
そうさせてもらうよ
グツグツと煮込まれるカレーのいい匂い。
黒
ひぐれ、腹減った
ひぐれ
まだ早いよ
まだ16:00だもんな。
黒
カレーは良いのか?
ひぐれ
置いとくの時間まで
黒
へぇ~、こうやるのか
ちょっとだけ…
ひぐれ
つまみ食いは駄目よ
黒
え!いや、何も
読まれた?
ひぐれ
黒は思ってることが出やすいの
黒
そ、そうだったのか…
ちょっとショック。姉さんにからかわれてたのは、これが原因か。
暗闇
黒?食べただろ
黒
え〜食べてないよ
暗闇
顔が嘘ついてるぞ
黒
え、ついてないって
暗闇
食べたんだな
よくバレてたのは姉さんの目かと思ってたが、顔とはな…
ひぐれ
黒?おーい
黒
んぁ、ひぐれ?
ひぐれ
寝てたの?
黒
寝てたか?
ひぐれ
返さないでよ
時計は6:00を指している。
ひぐれ
ご飯にしましょ
黒
そうだな
いつから寝てたんだろう。
ひぐれ
ご飯盛ってよ
黒
はいよ
お皿に盛り付けて渡す。それにカレーをかける。
ひぐれ
はい、出来上がり
そういえば、ひぐれの手料理は初めて食べるな。
黒
いただきます
ひぐれ
美味しいから
自信満々な目で見てくる。
黒
ん!美味しい…美味しいよ!ひぐれ!
一口で分かる美味しさ。姉さんと互角だ。
ひぐれ
ね、美味しいでしょ
黒
うん、ありがとな、ひぐれ
すぐに食べ終わった。それほど美味しかったんだ。
ひぐれ
お皿、洗っとくね
黒
うん、風呂洗っとくな
シャワーで流しつつ思った。
黒
誕生日、祝ってねぇな
もうすぐ、ひぐれの誕生日。5年一緒に住んでいるが祝っていなかった。
黒
今年からは祝うか
風呂に湯を張って、部屋に戻った。
黒
ひぐれ、お前は何が好きだ?
ひぐれ
え?どうしたの急に
黒
あ〜なんでもない
ひぐれ
ふ~ん、変なの
ド直球なのは味がないか。
黒
サプライズだな
ひぐれ
何が?
黒
ふふっ
ひぐれ
ちょっ、急に抱きつかないでよ
黒
可愛いよ、ひぐれ
ひぐれ
な、何なのよ
この後、二人仲良く風呂に入って寝た。
ひぐれ
すぴー
日記をつけてから。
黒
こんなものか
〜8月22日〜
今日はカレー(ひぐれの手料理)を夜に食べたが
美味しかった。姉さんと互角の勝負だと思う。
もうすぐ、ひぐれの誕生日。
日記をつけるのには理由がある。
黒
後、5年か…
5年後、私は約束を果たさないといけない。その時に存在を覚えておいてほしいから書いている。
黒
おやすみ、ひぐれ
だが、まだ長い。

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