私達が外に出たら、そこは地獄の様だった。
悲鳴が聞こえる。炎が燃え盛る音が聞こえる。
街が、国が、地に落ちる音が聞こえる。
私は目にして疑った。
まるで、別世界の様だからだ。
現実からかけ離れ過ぎている光景に
まだ実感が湧かない。
でも、城を見たらわかった。
これは紛れもない現実だ。
誰かが撒いた戦争の種。
怖い。怖い。怖い。
ただひたすら怖かった。
人が死んでいく。
物が無くなっていく。
国が消えていく。
正直に言うなら、
ハルトも怖かった
この状況で冷静な判断を下す彼が
でも違う、それが正しいのだ。
私は正しく在りたい。
頭が追いつかない。思考回路が可笑しくなりそうだ。
何が起きた?何があった?どうして____________
ハルトは刺された……?
考える時間も与えてくれない。
ただ逃げることしか出来ない。
ハルトを刺した奴から。
今私の事を追いかけてる奴は。
『無慈悲なる王女に死を』
的な事言ってたけど…
王女……?
私の事を…………殺すのが目的…?
あの人の顔は見えなかったけれど……
声的に、あった事は無い。
面識が無いのに殺す……?
何故?
恨みでもあるのかな…
でも面識ないし………
いや、今は逃げよう。
ハルトが無事だと信じて。
それから
約15分後
そこはかなり急斜面の崖だった。
どうやら追い詰められたらしい。
この下は海で、今日は割かし波は大人しい。
そいつは、ジリジリと近づいてくる。
一歩。また一歩と。
私はハーバート王国の王女。
それなりの覚悟は持っている。
でも不安はある。当たり前かも知れないけれど。
生きるのを諦めた訳じゃない。
可能性を信じたのだ。
私はこの極僅かな可能性を信じたい。
いつか
私の代わりに、ハーバート王国を変えてくれる。
そんな勇者に。
私の全てを託そう。
地位でも、名誉でも、なんでもあげよう。
だからお願い。どうか
私と、この王国を守って。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!