- 恭伸 side -
最初は夢かと思った
甲子園球場で練習できるって監督からきいて
すげーウキウキして入ってみれば
履正社高校の中に1人めちゃくちゃ可愛い子がいるんだから
だめだ、集中できない
最初はあんなに張り切ってたのに
あの子を見てからなんか心臓がゾワゾワする
なんだ、この気持ち……
練習を初めて1時間半くらい
そう言って練習を抜けた
別に普通にトイレ行きたかっただけだけど
心のどっかであの可愛いマネに会いたいって
気持ちが少なからずあった
トイレは俺たち側のベンチの近くにもあったけど
敢えて俺は履正社側のトイレに行くことにした
それにしても甲子園、懐かしいよな……
あの時以来だもんな。
脳裏に嫌な思い出がフラッシュバックする
……二度とあんな思いはしてたまるか
その屈辱を晴らすためにまたここに来たんだ
絶対に、選抜も、そして夏の大会だって
優勝してやる
そんなこと考えながら歩いていると
あの可愛い子が俺の目の前に現れた
やっば、近くで見るともっと可愛いな……
それにしてもこの子
めちゃくちゃ面白くない?笑
つい可愛い子の行動を見て笑ってしまった
(悪い意味じゃないからな!By奥川)
すると目をまん丸にしてこちらに振り向いた
……うん、すんごいかわいい。
何も言ってこないけど
顔には
何この人めちゃめちゃ怖いんだけど……
殺されるかもしれない!
なんてこと書いてあるような気がして
そう言ってまた脳裏にあの姿が思い浮かんだから
ケラケラ笑ってると
その子もふっと肩の力が抜けたのか
俺の名前を聞いてきた
でも耳を疑った
一応俺は今の高校野球界で注目はされている
この間だって雑誌にとりあげられたくらいだから
この子だって見てるんじゃないのか?
そう言うとその子はハッとした顔で
こちらを見て飛び跳ねている
うん、この子好きだわ
素直にそう思った
可愛くて面白くて俺見てこんな喜んでくれる女子
うちの高校にはいねーからなあ…苦笑
しばらく談笑して後でLINEを交換する約束をした
練習に帰ろうと廊下を歩いてる時ふと思った
あ、俺の夢もう一個増えたわ
ひとつはあの屈辱を晴らすために甲子園で優勝すること
ふたつめはあなたちゃんを好きにさせること
でもあなたちゃんって結構落とすの難しそう…
だがしかし!俺は諦めないからな
一度好きになったものは最後まで貫き通す
野球だって恋愛だって
全部叶えてやる!!!!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。