※🦌とOCは何の関わりもありません
Husk side
そう言えば、Alastorは俺から目を離さずに椅子へ座る。
まさか、irresとのことか……? ぴく、と眉が動き、Alastorを睨むような目付きになる。
俺は、irresと付き合っていることは誰にも話していない。……irresは、何人かに言いふらしているが。だが、とにかくAlastorにはバレたくなかった。天下のRadio Demonの掌で踊らされている俺に、恋人がいるだなんて知られたら、彼女の命も危ない。
……命の危機に晒されるのは、ヤツの気分次第だとは思うが。
ごくん、と固唾を飲んだ。
あまりにも馬鹿馬鹿しい発言に、脳の処理が遅くなった。
すると、彼は問答無用で俺の顎下をする、と撫でる。なだらかな手付きに多少驚くが、すぐに俺は呆れたようにため息をつく。
危なかった。喉の上までその名が出そうになり、何とか飲み込んだ。
これ以上拒んだら、更に疑われそうだ。厄介なことに発展しかねない。
俺は仕方なく顎下を撫でられる感触を受け入れた。特別気持ちが良い訳ではなかったが、彼の望み通りに喉を鳴らす。
ゴロゴロゴロ……。
Alastorは席を立てば、そのまま影となって消えていった。急に顎を撫でてくるとは……本当に、彼の考えていることはこれっぽっちもわからない。
さて、そろそろ店終いの時間だ。俺はバーからその身を降ろし、その場を後にした。
最後に、あいつの様子を見てから寝よう。
ガチャ、と扉を開けた。
生返事しか返ってこない。
さっきからirresはずっとベッドに寝転がり、俺に背を向けたままでいる。
普段とは違うirresの様子に、何処か不安を抱く。俺と話そうとしない。何かあったのだろうか。
俺は静かに彼女のいるベッドへ腰掛ける。
すると、irresは重々しく体を起こした。のそのそと俺に近づくと、弱々しくしがみつくように抱き締めてくる。
俺は思わず口元が緩み、ポンポン、と彼女の頭を撫でる。
irresの声は、何処か戸惑っているようにも聞こえる。俺はなるべく優しく語りかけ、安心させるように頭を撫で続けた。
暫くすると、irresはようやく口を開いた。
予想外な発言に、脳の処理が遅くなった(2度目)。
irresの抱き締める力が大きくなる。
胸がじんわりと熱い。彼女のくぐもった声を、俺は聞き逃さなかった。
irresは、きっ、と下から俺を睨み付ける。だが、この間とは違う、今にも泣きそうな目をしており、不覚にもかわいいと思えてしまった。
彼女はほっと胸を撫で下ろす。
さら、と髪を撫でてやる。すると、irresは俺の顎下へ手を伸ばし、撫でてきた。
……やはり、彼女に撫でてもらうのが一番いい。俺は自然と目を細め、喉を鳴らす。
ようやく笑顔を見せたirresに、こちらも思わず顔がほころぶ。彼女の笑顔は本当にあどけなくて、孫のような愛おしさも感じる。
彼女は恋人というよりも、家族のような存在、と称した方が合っているのかもしれない。
irresを寝かせ、毛布で彼女の身を包む。
此方を見てくる彼女の頭を撫で、そこから柔らかな頬へと手を滑らせる。そのまま顔を近づけ、おやすみのキスを交わした。
irresの部屋を後にする。彼女も嫉妬心を持っていたことに、少しばかり嬉しさを感じた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!