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第1話

さようなら
970
2021/09/28 02:25
あなたside





私の名前はあなた。
高校3年生。



昨日の夜、私は事故で両親をなくした。






絶望だった








学校ではいじめに遭い、それでも両親が居たから頑張れた。









今の私には











もう何も無い。
















パパ、ママ…
産まれ育った故郷。みんなみんな
バイバイ。さようなら。















あなた
うわ…雨じゃん…っ








私は慣れない街を歩いていた。






そこでまさかの大雨。





傘ないのに…









あなた
あーぁ。本当に何もかもついてないんだな






まだ17歳の私には
色々なものが重なりすぎて
たくさんの十字架を背負うには重すぎた。














あなた
ここがスクランブル交差点か…







何もかも逃げ出したくて
飛び出た先は東京

勿論、あてもない。









さすが東京。さすがスクランブル交差点
田舎育ちの私からして
すごい人の数で、初めて見る人混みだった。






土砂降りの雨の中スクランブル交差点を急いで渡る










あなた
もう…なんでこんな時に雨なんか…っ。うわっ…!






コケた。




ほんとについてない。



街行く人達は
誰も手を差し伸べてくれなくて
人の冷たさをより感じた。









あなた
はぁ…





ゆっくり起き上がり
溢れ出す涙を雨で流した。





でもダメ。止まらない。










 



ドンッ!








あなた
…っ!すみません…っ!
彪雅
彪雅
おわっ!
すんません!
って、びしょ濡れじゃんっ!






"こっち来て"と
慣れたように人をかき分け
私の手を引くキラキラした人










彪雅
彪雅
ちょ、大丈夫?!
あなた
あ、あの…
すいません!大丈夫ですので…
彪雅
彪雅
いや、大丈夫じゃないじゃん。
泣いてんでしょ?
 










なんて真っ直ぐな目で見られると
余計に泣ける。












彪雅
彪雅
とりあえず、傘俺もないから
そこのコンビニで買おう!
あなた
私…、ほんとに大丈夫ですから…
彪雅
彪雅
いいから…!








言われるがまま、私はその人に手を引かれてった










彪雅
彪雅
ほい、傘!
あなた
ありがとうございます…
彪雅
彪雅
と、タオル!
あなた
タオルまで…ありがとうございます





東京にも優しい人いるんだなぁ。
ていうか、優しすぎるけど。この人。







彪雅
彪雅
…君、まだ子どもだよね?
あなた
…!子どもじゃないですから!





なんてムキになるとこが
子供なんだよってね。





彪雅
彪雅
いくつ?
あなた
17ですけど。
彪雅
彪雅
子どもじゃんか…!
1人なの?





何も無い私が子どもだからって
ひとりなのがいけないの?



何この人。





あなた
今もこれからも1人ですけどなにか。
彪雅
彪雅
ふっ(笑)
ひねくれてんね
あてはあんの?
あなた
…ないですけど
彪雅
彪雅
ならうちおいでよ
あなた
…は?
 









でも行くあてもないし
悪い人では…なさそう…?だし






彪雅
彪雅
来るの?来ないの?
あなた
…行きます。
















これが私のたくさんの初めてを知る
貴方との出会いだった。

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