2018年7月下旬 夏祭り
5時頃の商店街近くはいつもより賑わっていた。
今日は夏祭りがあり、商店街から神社までの道は、屋台が沢山あった。
子供の多いこの地区はとても盛り上がっていた。
早見は待ち合わせの時間に少し送れそうになり、小走りで向かっていた。
早見は急に疲れ、歩き始めた。
しかし商店街に向かうにつれ、不安になってきた。
そんなことを思っていると、商店街の入り口に着いた。
早見は辺りを見渡す。
すると、玉木らしき人物を見つけた。
しかし、よく見ると男女数人に囲まれ、話しているようだった。
早見は人の邪魔になら無い場所に移動し、玉木のことを待った。
しばらく時間がたち、人が増えたような気がした。
早見はきょろきょろと辺りを見渡した。
玉木の姿が見えなくなっていたのだ。
早見はうつむいた。人が沢山行き交うなかで、自分は惨めだと思った。
前から急に両肩を掴まれた。
玉木は浴衣だった。
そして、ちょっと動揺した顔をしていた。
早見の顔をまじまじと見つめ、ほっと息をつくと、肩から手を離した。
早見は顔をぶんぶんと振った。
玉木は早見を見つめた。
早見は嬉しくなった。
玉木はちょっと可愛らしい顔をした。
早見は笑って答えた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!