血が、地面に落ちる音が、やけに大きい。
クロロの瞳が、深く沈む。
何かを決めかけて、でも止まる。
それを私は、知ってしまう。
パクノダは、悟る。
団長が、選べないことを。
選ばせてはいけないことを。
その呼びかけは、懐かしいほど静かで。
クロロの瞳が、かすかに揺らぐ。
パクノダは、私を見る。
優しい目だった。
小さく、でも確かに。
息が、詰まる。
首を振る。
鎖が、軋む。
空気が、凍る。
間に合わない。
___クラピカが、引き金を引く、その前に。
パクノダの身体から、力が抜けた。
銃声より、ずっと近い。
鈍く、低い音。
時間が、止まる。
パクノダは、クラピカの腕をすり抜け、
静かに地面へ崩れ落ちる。
血が、ゆっくりと広がる。
世界が、音を失う。
クロロは、動かない。
叫ばない。
ただ、見ている。
その横顔が、あまりにも静かで。
だからこそ、分かる。
何かが、壊れた。
取り返しのつかない、何かが。
クラピカは、銃を持ち上げる。
淡々と。
揺れのない、復讐者の声。
視界が、滲む。
私は無意識に、クロロのコートを掴んでいた。
クロロの鼓動が、背中越しに伝わる。
速い。
初めて、乱れている。
まだ、世界は終わらない。
終わらせてくれない。
夜は、こんなにも静かなのに。
♢
鎖野郎に連れられたパクノダを見た瞬間、
オレは理解した。
パクノダは、助からない。
出血量、浅い呼吸、焦点の合わない瞳。
分析は、一瞬で終わる。
パクノダは、死んだ。
まだ、息はある。
だが、それは誤差だ。
未来は、もうない。
取り戻せないものに、時間を割る意味はない。
それが、団長としての正しい思考だ。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。