⚠️注意⚠️
めっちゃ長いです。
あと、長かったんで前編みたいな感じです
何が起こったのかがわからなかった。
足元には血が小さな水たまりを作っており、パンジーは完全に力が抜けていた。
僕とパンジーの間には輝きをなくした宝石のような表情をしたクーフェがナイフを手で掴んでいた。
きっと足元にある血はクーフェのものに違いない。
痛々しい光景に周りは騒然とした。
優しく語りかけるクーフェ。パンジーは壊れたおもちゃのように急に泣き出した。
顔を覆い、大量の涙を流し、その涙は指の間から滴り落ち、ドレスに着地していた。
緊急な事態に気付いた先生たちが生徒をかき分けやってくる。
クーフェは存在を消すかのように華麗に人ごみを通り過ぎてゆき、どこかへ行ってしまった。
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薄暗い夜の中、夜空よりも暗い木々を掻き分け、ドレスについていたであろう、飾りを頼りにクーフェを探した。
_クーフェ視点_
僕は逃げ出すようにダンスパーティー会場から逃げ出した。
後ろから聞こえてきた僕を呼ぶ声を無視して、
道中、数々の枝に引き留められたけどそれをも無視して森の奥まで行った。
そこには綺麗な湖があって、空に浮かぶ月の光を反射させていた。
そしてその湖は僕のドレス姿も映し出した。
周りに誰もいないのに、顔が勝手に笑顔になる。
全て僕が招いたことなのに、
目から涙がたくさん出てくる。
僕はただ…
みんなのような
笑顔になって
時には言い争って、
たまに喧嘩する。
情けなく泣き叫ぶ声が森に
湖に響き渡る。
手の傷の痛みすらも気にもとめず。
僕は手を強く握りしめて
何度も何度も
地面に叩きつけた。
空に向かって大きな声で叫んだ。
我慢なんてものがもうできない。
もういっそのこと目の前の湖に沈んで溺れてしまいたい思いだった。
ゆっくりと立ち上がって、湖を背にして僕はゆっくりと後ろへ倒れていく。
この数年間。マルフォイに対する想いを隠して、我慢して、あの人のために分霊箱を僕の手元に保管していた。
あの人の信頼をとると同時に、僕の計画を進めた。
でももうそんなことをしなくていい。
自分を偽らなくてもいい。
ゆっくり目を閉じようとしたら、目の前の木々が騒がしく動いていた。
マルフォイが木々の中から飛び込んできて、僕はマルフォイ諸共湖に飛び込んでしまった。
さっきまで騒がしかった音が消えた。
マルフォイは僕を優しく包み込み、強く抱きしめていた。
冷たい水の中だけれども、確かに感じるマルフォイの温もり。
僕は
強くマルフォイをだきしめた。
_マルフォイ視点_
クーフェの後を追って、様子を見ていたら唐突にこちらを向きゆっくりと湖の中に入ろうとしていた。
気付いた頃には後先考えずにクーフェと共に、湖の中に入った。
湖の中は冷たかったけれど、久しぶりにふれれた喜びはそんな冷たさも忘れさせれてくれた。
少しの間、抱きしめた後に僕はクーフェと一緒に湖をでた。
ドレスやタキシードに水が含んでいて、とても重かった。
湖から上がるのに苦戦はしたけど、クーフェが無事でよかった。
クーフェは顔を合わせてくれなかった。
そりゃそうだ、あんなことがあったのだから合わせたくもないだろう。
僕がそういうと、ゆっくり顔を上げた。
僕の好意に気づかれてしまったんじゃないかと一瞬思ったがそうではないらしかった。
顔を上げて僕に叫ぶクーフェの顔には大量の涙が流れていた。
泣き叫びながら綺麗にまとまっていた髪型を乱し始めた。
クーフェの髪には赤黒くなったものと泥のようなものがベッタリとくっついており、
両手は離さないという意志を見せるかのように髪の毛を強く握りしめていた。
肩に手を添えようとしたらとてつもない反射で避けられてしまった。
そしてわんわんと泣き叫び続けながら、
もう辛いだの、好きだっただの、パンジーに刺されたのがどれほど痛かったのだの、
未練があるだの、なんで助けたんだだの。
聞いているだけで、こちらからも言いたいことが山ほどあるというのに。
挙げ句の果てには僕の胸で泣く始末。
こっちだって、泣きたいのに。
そう言ってから、静かになった。
今聞こえるのは鼻水を啜りながら呼吸するクーフェの音と、
小さく聞こえる風の靡く音。
僕の胸で泣くクーフェの頭を撫でながらそう呟いた。
きっと本当は、こんな言葉はパンジーにかけるはずのもの。
少し落ち着いた声で、僕の名前を呼んだ。
少し嬉しいようで、どことなく寂しい。
さっきのセリフをスルーされたからか?
そう言ってどす黒い紐と、その紐にかかった鍵を渡してきた。
首にかけると、その鍵は、熱くなり、首周りにタトゥーのようになっていた。
クーフェは僕の言葉を聞いてとても驚いていた。
そりゃ無理もない。
今のお互いの服装は水に濡れたりところどころ破れていたりしていたからだ。
戸惑うクーフェを横目に懐に入れておいた杖を取り出し、湖に向かって呪文を唱えた。
杖の先らか冷たい空気が出てきて、これを湖の水面に当てるとみるみるうちに氷が張っていった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!