第37話

第三十話 後編
21
2024/06/29 00:37


目の前の湖が一気に凍りついた。

クーフェ
こ、これ薄くないよね?…
目の前にいるクーフェは凍った湖の水面を足でつついて人が乗っても大丈夫かどうかを確認していた。


ドラコ・マルフォイ
大丈夫だ。割れないようにしてある。


僕は凍った水面に両足を乗せて、乗っても大丈夫だということを示した。
ドラコ・マルフォイ
ほら、クーフェも。
僕は手をさしだした。

クーフェは戸惑いながら手を伸ばした。

僕はその伸ばした手を掴み、こちら側へ引き寄せた。

クーフェ
わ、わぁ……本当に…乗れるんだ…
ドラコ・マルフォイ
言っただろ?
さぁ、手を腰に。
氷の上に乗って微笑むクーフェを見ながらダンスの姿勢に移った。
ドラコ・マルフォイ
クーフェの手は……
クーフェ
僕だって、その色々とか分かってるってば
ドラコ・マルフォイ
ははっ、そうだよな。


一つ一つの動きがとても愛おしく見える。

ドラコ・マルフォイ
(あぁ…クーフェ、どうしてお前はそんなにも…)
クーフェ
ちょっと、マルフォイ。
見惚れてないで、さっさと終わらそ。
ドラコ・マルフォイ
あ、あぁ…そうだな。




クーフェ
マルフォイ、音楽とかないけど大丈夫なの?
ドラコ・マルフォイ
音楽なんてなくても平気さ。
僕がリードする。




_クーフェ視点_


マルフォイにリードすると言われたので、マルフォイに任せた。






クーフェ
………(あれ…なんだろう、不思議な感じ…)



ただ何も聞こえないところで踊っているだけなのに…


なんだか音楽が聞こえてくる。


氷の音。


風の音。


草木が揺れる音。


全てが組み合わさって、一つの音楽のように聞こえる。






あぁ、なんて素晴らしい光景なんだろう。




僕の目の前には僕の好きな人がいて。

僕が一緒に踊りたいと願ってた人がいる。



もしかするとこれは夢なのかもしれない。

夢ならば覚めないでくれ。









急に動きが止まった。


さっきまで浴びていた優しい風が突然絶えたのだ。

さっきまで閉じていた目を開けると、



目の前にいたマルフォイはいなくて、下を見るとマルフォイが左膝をついていた。


マルフォイ
クーフェ…言いたいことがある…




マルフォイ
っ僕と…!……
僕は分かっていた。


何を言おうとしてるのかも。


マルフォイが何を望んでいるのかも。


でも、今は…
クーフェ
マルフォイ、僕も同じ気持ちだよ。
でもね、今はまだその時じゃない。
クーフェ
全て終わったら、また言ってくれる?
マルフォイ
……分かった。君が望むなら、僕も待つよ。


マルフォイは優しい。


こんな時間も、こんな素晴らしい体験も二度と叶わないだろう。
 



少し時間を開けて、僕達はみんなの元へと帰った。

僕は1人で帰れるって言ったのにマルフォイが、聞いてくれなかった。




学校の光が大きくなると、先生たちが駆け寄って来た。

スネイプ先生や、マクゴナガル先生、マダムポンフリーまでも僕に駆け寄ってきた。

ハリーやロン、ハーマイオニー達も駆け寄ってきて、僕の変わり果てた姿を見てとても驚いていた。


ハーマイオニー
アーシェ!大丈夫なの?!
ハリーポッター
泥だらけじゃないか!何があったの?
ロン
しかもびしょ濡れじゃないか!風邪ひいちゃうよ?
クーフェ
みんな…ありがとう


寒くて手も痛いけれど、みんなはとても優しくて嬉しかった。

プリ小説オーディオドラマ