目の前の湖が一気に凍りついた。
目の前にいるクーフェは凍った湖の水面を足でつついて人が乗っても大丈夫かどうかを確認していた。
僕は凍った水面に両足を乗せて、乗っても大丈夫だということを示した。
僕は手をさしだした。
クーフェは戸惑いながら手を伸ばした。
僕はその伸ばした手を掴み、こちら側へ引き寄せた。
氷の上に乗って微笑むクーフェを見ながらダンスの姿勢に移った。
一つ一つの動きがとても愛おしく見える。
_クーフェ視点_
マルフォイにリードすると言われたので、マルフォイに任せた。
ただ何も聞こえないところで踊っているだけなのに…
なんだか音楽が聞こえてくる。
氷の音。
風の音。
草木が揺れる音。
全てが組み合わさって、一つの音楽のように聞こえる。
あぁ、なんて素晴らしい光景なんだろう。
僕の目の前には僕の好きな人がいて。
僕が一緒に踊りたいと願ってた人がいる。
もしかするとこれは夢なのかもしれない。
夢ならば覚めないでくれ。
急に動きが止まった。
さっきまで浴びていた優しい風が突然絶えたのだ。
さっきまで閉じていた目を開けると、
目の前にいたマルフォイはいなくて、下を見るとマルフォイが左膝をついていた。
僕は分かっていた。
何を言おうとしてるのかも。
マルフォイが何を望んでいるのかも。
でも、今は…
マルフォイは優しい。
こんな時間も、こんな素晴らしい体験も二度と叶わないだろう。
少し時間を開けて、僕達はみんなの元へと帰った。
僕は1人で帰れるって言ったのにマルフォイが、聞いてくれなかった。
学校の光が大きくなると、先生たちが駆け寄って来た。
スネイプ先生や、マクゴナガル先生、マダムポンフリーまでも僕に駆け寄ってきた。
ハリーやロン、ハーマイオニー達も駆け寄ってきて、僕の変わり果てた姿を見てとても驚いていた。
寒くて手も痛いけれど、みんなはとても優しくて嬉しかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。