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第38話

第三十一話
13
2024/07/04 01:17

ー アーシェ視点 ー


最近、目線が痛い。



僕とは目を合わせないけど僕の、後ろ姿を見てヒソヒソ話してくる女子が増えてきた。


それだけだったらいいのに、授業中でも目線や声が絶えない。

集中したくても出来ないから心底悩んだ。


いや逆になんで僕がこんな目に?

パンジーやマルフォイならまだ分かるけど僕との差ありすぎない?


パンジーとの間にはとても亀裂が入っていた。


話しかけようとしてもシカトされて、同じ寮の同学年の女子からも避けられている。



でも仕方ないんだ、こんな運命だと初めから予想出来ていて、それでもいいと言ったのは僕だから。



いつの間にか僕は廊下をフラフラと歩いていた。

窓から見える光景はとても静か。
クーフェ
あ、今は授業中だっけ

うっかりそのことを忘れていた。


ろくに授業にも出ていないから先輩たちからの視線が集まるのも近いだろう。



クーフェ
おっとと…
急に体がふらつく。

無理もない、ココ最近ろくに眠れていない。
分霊箱をハリーたちよりも早く回収して手元に収めないといけないからだ。

あの人の期待に応えるのと、僕の計画を成し遂げるための大事なもの。


でもいっその事、全てハリーたちに壊してもらえれば僕の仕事も楽になるのかな。



僕はふと、ひとつの窓の、前で立ち止まった。






ーマルフォイ視点ー




あの日から何日かたったが、パンジーの完璧?なガードでアーシェに話しかけられないままでいた。

休憩時間話しかけに行こうとしたら腕を掴んでそれを阻止してくる。





「おはよう」の挨拶さえもパンジーは許さなくなった。


手紙を書いて送っても一向に返事は来ない。

日に日に目の下のクマが酷くなるアーシェを、僕は見続けるしか無かった。
パンジー
ねぇ、ドラコ?
もし良かったらこの後一緒に…
ドラコ・マルフォイ
よ、用事があって!
無理なんだ…。
パンジー
そうなの?なら手伝うわ。
ドラコ・マルフォイ
こ、これは僕に任されたものだから…

僕はそう言ってパンジーを振りほどいて一目散に走った。


アーシェの居場所なんて分からない。

でも今はパンジーを撒くことが大事だ。



後ろからパンジーの声が聞こえた。

本当にパンジーを愛しているならば、僕は立ち止まっていただろう。

パンジーには申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら振り向かずに走った。


ドラコ・マルフォイ
はぁっ…はぁ……も、もうおってこないはず…

人気の少ない廊下で、肩で息をしながら落ち着かせた。

おってくる足音はわずかだが聞こえてくるがここには来ないだろう。

ドラコ・マルフォイ
ははっ…案外撒けれるんだな…
そう思いながらふと窓の方に目が入った。

そこには見慣れた後ろ姿の人物が今にも窓から飛び降りそうになっていた。
ドラコ・マルフォイ
っ!アーシェ!!!
クーフェ
すんでのところでアーシェの飛び降りを阻止することができた。

足を滑らせて背中を打ってしまったけど心臓がバクバクと脈打ってそれどころではない。

ドラコ・マルフォイ
危ないじゃないか!何を血迷ったんだ!

心配のせいか怒りが込み上がる。

体を揺さぶってそうアーシェに言っても、アーシェはびくともしない。


自分自身でも何が起こっているのかわかっていないようだった。

クーフェ
あれ…マルフォイ……。
僕は何を……
ドラコ・マルフォイ
お前は!ついさっきあの窓から飛び降りようと!


次の言葉が出ようとした途端、アーシェの顔が目に入り、久しぶりに正面で見た。

本当に何をしたかったのかわからないという表情をしており、混乱気味の顔をしていた。
ドラコ・マルフォイ
……いや、なんでもない…。
クーフェ
そう……なら僕はもうこれで…
ゆっくりと立ち上がるアーシェを僕は引き留めた。
ドラコ・マルフォイ
久しぶりに一緒に授業を受けて、一緒に晩御飯を食べよう。


パンジーを振り切ってまで会えたんだ。

ここで言わないでいついうんだ。

きっともう言えるチャンスはない。そう思ってダメもとで言ってみた。
クーフェ
…マルフォイ、それはパンジーに悪いよ…
それに君だって変な噂立てられたくないだろうし孤立だってしたくないだろ?
クーフェ
だから、もうこれからは僕に関わらないでさ…
パンジーと仲良くしなよ。僕にはハーマイオニー達がついてるから大丈夫だよ

そういう顔は笑顔だがどこか引き攣っている。
あの時の笑顔がまるで嘘かのようだ。

ドラコ・マルフォイ
じゃあせめて、授業にはきてくれ。
スリザリンの点が下がりっぱなしも良くないからな。


そう言って僕は無理矢理アーシェを連れて次の授業へと向かった。


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