その日は一日中ずっと雨が降っていた
有給をとったのはいいものの,
仕事上休みの日にも容赦なく
出勤要請が出ることは度々ある
でも,今日は
わたしが,個人的に出勤しているだけである
零の返事を聞きながら零の愛車である
マツダRX−7の後部座席に座る
助手席に乗っている風見がタブレットに映っている
ある事件のネットニュースをスライドさせながら
そう言葉を発すると,
何かに気づいたかのように話すのをやめた
申し訳なさそうにしている風見を横に
目線は前に向けたまま,零は言葉を発する
風見が何か言いかけたとき,
目の前に見覚えのある…
…わたしの大嫌いな男が走っていくのが見えた
わたしを含めた3人はすぐに車から降り,
彼の後を追う。
彼はわたし達に気づいていないのか,
他人の軽自動車のフロントガラスを叩いて
彼の何かに対する怒りに八つ当たりしていた
一瞬でも気を抜いてしまったら
彼を撃ってしまいそうで…
怒りを無理やり飲み込んで
彼を追っている風見と零を追いかける
掠れた声で僅かにそう聞こえた
彼の表情を見る限り,演技とは思いにくい
彼の顔に目を向けると首に何かが装着されていた
そんなことも気にせずに風見は
警察手帳を向けながら彼に近づく
ピーーッ___
ずっと絡まっていた糸が解けた気がした
考えるより先に口が動いて
気づけばそう発していた
その時,
風見の声を遮るように
__目の前が爆発した
目を開けるとそこは知らない場所
白い部屋に白いベットで寝ていたことを知る
起き上がって周りを見渡そうとした途端,
全身に痛みが走った
見る限り,仮眠室のような場所
さっきの爆発に巻き込まれた
零と風見の姿が見当たらず,
仮眠室を出ようと,ドアを開けると
目の前にあちらこちらに
包帯や絆創膏を貼っている風見がいた
零は爆発に巻き込まれたあと,すぐに目を覚ましたが
風見が吹き抜けに落ちそうになるところを
助けていたところペストマスクを被った何者かに
わたし達が追っていた爆弾魔と同じ爆弾をつけられたらしい
そしてペストマスクを被った者は意識を失ったわたしにも
爆弾をつけようとしたところ,零が銃をその者に撃ち,
丁度パトカーのサイレンが聞こえその者は逃げたらしい
ペストマスクに,爆弾…
3年前のあの事件とおそらく同一犯だろう
公安の地下シェルターは案外警視庁の近くにある
警視庁本部の正面玄関,北門を通れば1番近い
しかし,大きな問題がある。
知り合いを含めた刑事達と
小学校低学年くらいの男の子が
入り口付近で話し合っている
公安にいる以上,身内には「警察を辞めた」
と伝える必要がある
わたしが警察を辞めたと認識している人の前で
わたしが警視庁の中に入るのは
あまりにも不自然すぎるだろう
疑問を抱きながらも
身内に見られるのを避ける為,
遠回りして真反対の南門を通ろうと
再び足を動かそうとしたとき,
遠くから聞き覚えのある声がわたしを呼んだ
…気づかれた











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!