横にいるペムも、
金色の瞳を丸くしてあたりを見回す。
胸が高鳴る。
懐かしい空気が、肺の奥を震わせる。
そこへ──
聞き覚えのある声が、ゆっくり僕の背中を揺らした。
振り返ると、石壁の影からセバスチャンが歩いてくる。
いつもの制服姿。
いつもの口元の笑み。
亡霊じゃない、生きているセバスチャン。
肌に血の気がある。
光が瞳に映っている。
当たり前のように息をしている。
胸の奥がじんわり熱くなる。
気づけば駆け寄っていた。
セバスチャンの顔が近づく。
彼は驚いたように目を細め、
その声は、未来での幻のような静かな声ではない。
確かに響く、生身の声だった。
僕は唇が震えるのを感じながら、
彼の胸元を軽く掴んだ。
──え?
その瞬間、僕とペムはある事を思い出し
同時に固まった。
僕が尋ねると、
セバスチャンは一瞬怪訝な表情を浮かべた。
セバスチャンは苦しそうに笑いながら頷く。
数ヶ月?
僕の身体から力が抜ける。
だって、僕たちは
ハリーたちの時代で“7年”過ごしたのに。
その温かい手の感触に、胸がぎゅっと絞られた。
そのとき、背後からにぎやかな声がした。
ナティが走り寄り、
その後ろからオミニスが静かに微笑む。
ギャレスが笑いながら駆けてきて、
アミットは半泣きで胸を押さえ、
イメルダが腕を組み、
最後に、ポピーが何かを抱えて走ってくる。
彼女の後ろには、
見覚えのある影が四つ。
黒い毛並み、白い耳、丸い形、小さな翼──
ロゼット、コニー、ラッセル、キャルに
瓜二つの魔法生物たち。
僕は息を呑む。
ポピーが困ったように笑う。
僕の胸がざわざわと揺れる。
未来で別れた仲間たちと“そっくり”な子たち。
でも彼らは僕を知らない。
ただ、じっと僕を見つめている。
僕は喉の奥が熱くなるのを感じた。
周りから、一斉に歓声が上がった。
その中で、セバスチャンだけは
僕の震える手をそっと握り返してくれた。





















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!