第36話

12話③
32
2024/05/16 21:36 更新
環は過去にあった出来事を初めて咲に話した。
環
私ね、昔から友達がいなかったの。
環
人間に嫌われていたみたいで…悪魔だし仕方ないんだけどね、
ひとりぼっちの時カマチョルが仲良くしてくれたこと、従者まで付けてくれたこと。

カマチョルが第四魔王になった次の日に跡取りをお願いされて恩返しとして了承したこと。
環
でも、咲に会えて初めてこの世界に生まれて良かったって思ってる。
環
悪魔と人間は一緒にいれない。
環
だから折角生まれたんだから行けるところまで挑戦してみようかな?
環
なんて!ははっ
咲
応援してる!
咲
人間としてじゃなくて“友達”として。
環
うん、ありがとう!
環
もし、私が強くなってまたどこか出会えたら今度はお互い本気で戦おうね!
咲
えっ?!
環
えへへ、約束
咲
うーん、まぁいいか
咲
約束
環
そろそろ、咲を待ってる仲間のところに戻らないとね。
咲
うん、またね
環
うん、ま((ぐはっ!
咲
え?
咲は振り返った瞬間、たまらず悲鳴を上げた。環が、何者かに首を絞められていたのだ。
カタバミ
カタバミ
お前、邪魔なんだよね。
その何者かの手からは不吉な炎が立ち上り、みるみる環の体を覆い尽くしていった。
環
ぐぁっ!熱い、熱い!!

咲は我を忘れ、水の魔法を放った。水圧がカタバミを吹き飛ばし、咲は環の元に駆け寄った。
咲
環っ!!
環
うっ、…ありがとう。
環は膝から崩れ落ち、かすれた声で言った。

一命を取り留めたものの、環は全身に酷い火傷をしていた。


環は視線を落とし小さな声で呟いた。
環
私、死んじゃうのかな...
咲は涙をこらえながら横に首を振った。
環
もっと…強くなっ…て、…また咲…の元に現れたい…と思ってた…。
環
もっともっと…!ゴホッゲホゲホッ…咲と…話したかった。
環
やっと  前を向け…たのに…
環の目は涙でいっぱいだった。

環は右の太ももについている環の瞳によく似たトルマリンの宝石を差し出した。
環
この…宝…石、咲にあげ…る…。私…の分まで…強く…生きてっ!
咲
いやっ!!
咲
環が消えちゃう早く宝石を戻さないと!!
環は首を横に振り、焼けた手で咲の頬を優しく撫でた。
環
咲に…うっ…ゲホゲホッ…ハァハァ…会えてっ 本 当に…幸…せ だっ…た。
環の目から涙が零れた。


その涙は悪魔とは思えないほどに暖かく優しかった。
環
あり…がとう
環
またね
宝石が咲の瞳に溶け込むと同時に、環の存在がこの世界から消えた-。
咲
っ…!
咲の両手は環の右手を離さないと言わんばかりに強く握り締め、無慈悲にも環は消え咲の両手には何も残らなかった。
カタバミ
カタバミ
感傷に浸ってるところ悪いんだけどさ、ちょっと着いてきてくれない?
咲
…えぇ。
咲は瞬時に理解した。

目の前にいる悪魔が自分とは比にならない強さを持っていること。

そしてあの時公園にいた同じ悪魔だということを。

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