環は過去にあった出来事を初めて咲に話した。
ひとりぼっちの時カマチョルが仲良くしてくれたこと、従者まで付けてくれたこと。
カマチョルが第四魔王になった次の日に跡取りをお願いされて恩返しとして了承したこと。
咲は振り返った瞬間、たまらず悲鳴を上げた。環が、何者かに首を絞められていたのだ。
その何者かの手からは不吉な炎が立ち上り、みるみる環の体を覆い尽くしていった。
咲は我を忘れ、水の魔法を放った。水圧がカタバミを吹き飛ばし、咲は環の元に駆け寄った。
環は膝から崩れ落ち、かすれた声で言った。
一命を取り留めたものの、環は全身に酷い火傷をしていた。
環は視線を落とし小さな声で呟いた。
咲は涙をこらえながら横に首を振った。
環の目は涙でいっぱいだった。
環は右の太ももについている環の瞳によく似たトルマリンの宝石を差し出した。
環は首を横に振り、焼けた手で咲の頬を優しく撫でた。
環の目から涙が零れた。
その涙は悪魔とは思えないほどに暖かく優しかった。
宝石が咲の瞳に溶け込むと同時に、環の存在がこの世界から消えた-。
咲の両手は環の右手を離さないと言わんばかりに強く握り締め、無慈悲にも環は消え咲の両手には何も残らなかった。
咲は瞬時に理解した。
目の前にいる悪魔が自分とは比にならない強さを持っていること。
そしてあの時公園にいた同じ悪魔だということを。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。