空港まで送ってくれるだけかと思っていたら、
グクは駐車場に車を停めて私の荷物をおろした 。
と、小さく言って歩き出す 。
手荷物検査場の前に着くと、
グクは右手で私の左手を握った 。
グクは繋いだ手をぎゅっと握って、
ぎゅっと目を閉じて、そう言った 。
初めて聞いたグクの 「 ごめん 」 は、ひどくかすれていた 。
ゆっくりと目を開けて、ゆっくりと私を見る 。
グクは目尻を下げて小さく微笑んだ 。
あぁもう、ずるいなぁ 。
ずっと聞きたかった 「 ごめん 」 を
どうしてここで今言うかな 。
どうして今さら 「 また 」 なんて言うかな 。
ちゃんと最後まで悪者になりきってよ 。
今日は絶対に泣かないと決めていたのに、
喉の奥から嗚咽が込み上げてきて、視界が滲んだ 。
やっぱり私が好きだと思ってくれた ?
違うよね 。
ただ離れるこの瞬間が寂しいだけだよね 。
ほんと、バカだなぁ 。
嘘、下手だなぁ 。
" また " なんてないくせに 。
____ キムさんのこと、好きなんでしょ ?
きっともう、2人の思いは通じあっているんだよね 。
きっと初めて門限を破ったあの日、
2人に何かあったんだよね 。
グクが1番辛かった時に支えていたのは、
私じゃなくてキムさんだったんだよね 。
分かってた 。
浮気なら許そうと思っていたのは、
単なる浮気じゃないと気づいていたから 。
グクが浮気できないことくらい、私が一番分かってる 。
浮気じゃなかったんだよね 。
キムさんのこと、本気で好きになっちゃったんだよね 。
なんでかなぁ 。
ドラマにいるような、敵意むき出しの女だったら
私だって太刀打ちできたのに 。
全然違うじゃん 。
純粋にグクの事が好きなんだろうなって ____
ひと目見ただけで分かるじゃん 。
私、結構酷いことされたよね 。
グク、結構最低だったよね 。
今だってそう 。
グクの勝手な事情で私は帰らされるわけで 。
言いたいこと、たくさんあったのに 。
最後に、全部吐き出してやろうと思ってたのに 。
どうしてだろう 。
今私の中に溢れてくる言葉は、そんなものじゃなくて 。
なんで、どうしても憎むことができないのだろう 。
どうして __
出会った頃からずっと変わらない想いだけ、
こんなにも溢れてくるのだろう 。
ねえ、グク 。
" 好きだよ、大好き "
𝙉𝙚𝙭𝙩 .













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。